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(朝日を忘れた小説家)山雨乃兎[やまめ・のうさぎ]のブログーーー総合目録 [総合案内]

  最新記事へは、左上の「前の1件」を押してください。
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島への一本道 撮影 宮崎大輔


 山雨乃兎(やまめ・のうさぎ)のYouTubeチャンネル → 山雨乃兎 


 *副業をやっています。↓ 


 Laughter(ラフター)ストア関連情報は、→ こちら


 稲見商会ホームページは、→ こちら


 物販、稲見商会ストア→ Laughter(ラフター) 


 ヤフーオークション出品ページは、こちら→ kyouko3389 


 こちらもご覧ください。→ ブログカスタマイズ!
                 オークション出品代行 


 閲覧には、余分な緊張の必要がありません。
 それが、ブログというツールの優れたところです。
 どうぞ、ごゆっくり。(^^:;


 このブログで、まっ先に読むべきは、『ラフに語る、つれづれ記』です。
 その後、全体を俯瞰するには、『サイトマップ』へお越しください。



 1ページの表示記事数を、一件に戻しました。写真は、ほとんど200~600万画素、「軽い!」「表示が速い!」山雨のブログを、これからもご愛顧くださいね。


 拙著『ホテル・琵琶湖イースト』『壁蝨(だに)』も、ご購読ください。



 もし、このサイトに戻ってこれなくなったら、「山雨乃兎(やまめ のうさぎ)」で検索してみてくださいね。


 よろしくお願い致します。


                                山雨乃兎


 山雨フリークの方に、こっそりお伝えします。


 このブログの記事を、隅から隅まで読むには、月別アーカイブがお薦めです。


 現在の月別アーカイブは、こちら です。


  【8件表示にしたので、動作が軽くなりました!】


 


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  執筆中の著者


  山雨近影2.JPG 

 


 


 


 山雨乃兎(やまめ・のうさぎ)とは?↓ 


                                              
 プロフィール


(↑ ご覧になったあと、バックスペースキーで、戻ってきてくださいね)



 山雨乃兎(やまめ・のうさぎ)詳細プロフィール


 本名、稲見良一(いなみ・りょういち)。1963年6月6日、兵庫県西脇市に生まれる。二回の東京への家出時期を除いて、現在も、西脇市在住。
 高卒。男性。現在独身。妻とは死別。
 中学時代は、三年間吹奏楽部に在籍。担当楽器はトロンボーン。
 三年生の時、友人たちの推薦で部長に抜擢される。同年、同部は全日本吹奏楽コンクール東播大会金賞受賞。
 幼年時より、プロテスタントの教会に通う。その後、無教会派のキリスト教団体に通う。バプテスト教会にて、信仰告白。洗礼は受けていないが、信条はキリスト者。
 高等学校在学中の体育の授業中に内臓破裂の大事故を起こす。その為、大量輸血。脾臓摘出。全身の血液量以上の輸血。バンド活動への焦りから不眠症となる。
 18年間、プロドラマーを目指す。加入したバンド数、15以上。甲斐バンドのコピー、スクエアなどのフュージョンのコピー、スタンダード・ジャズ、ブルースのコピー、友人作詞作曲のオリジナル・ニューミュージックのバンドに参加。その後、デビュー前だったトータス松本氏と、『Roaring Stones』のコピーバンドで約一ヶ月半活動をともにする。当時の出演は、西脇市の楽器店、“サークル”の二階にて敢行。神戸ヤマハ・インストラクター、北村氏(曽根トリオのドラマー)に師事。1990年、朝日放送『探偵ナイトスクープ』にて、オルガンを用いて作曲した自作の曲がとりあげられ、キダ・タロー氏に編曲頂き、秋元康氏に作詞された曲『やさしくしないで』は、マルシアさんの歌唱により、関西地区にて一部、放曲される。
 2005年8月、鳥影社(ちょうえいしゃ)より小説『壁蝨(だに)』を山雨乃兎(やまめ・のうさぎ)の筆名で刊行。感想は、ブロガーさんらに記事として頂いております。
 2006年1月より、ウェブログサイト『(朝日を忘れた小説家)山雨乃兎のブログ』を運営。
 2008年6月、小説『癈人(はいじん)つくりて…』が、株式会社サイマリンガル主催、『第3回、世界で一番読みたい小説グランプリ』の最終候補作となる。
 珠算検定6級。商業簿記検定4級、英語検定3級。中型自動車第一種免許。普通自動二輪免許。キーボード文字入力速度は、ワープロ検定2級に匹敵する。危険物取扱者(乙種第四類)。古物商。
 自動車のセールス、印刷工、ガソリンスタンド・サービスマン、製造業工員などを実質17年経験、21年間の就労期間の後、投稿生活に入る。2012年10月からは、個人商店『稲見商会』を運営しています。
 2014年12月、新作『ホテル・琵琶湖イースト』を上梓する。


 


 


 


 最近の動向↓


 外部リンク(You Tube歌唱シーン)


 しるし(Mr.Childrenカバー)  いっぽんどっこの唄(水前寺清子、カバー)


 愛することを学ぶのに(やしきたかじん、カバー) (←山雨の魅力を知るには、この一曲から)


・お薦め記事


 爆裂の職務質問記事→     


  青春の記憶→ バスケットボールの思い出                                       


 


 


 ごく最近の近況 


 動画で近況!


  モーターボート・レディスカップ観戦


 日産フェアレディZ試乗


 日産スカイライン・クロスオーバー試乗 


 ドラム演奏シーン 


 エレキベース演奏シーン 


 エレキベース演奏シーン2 


  朗読、夏目漱石『行人(こうじん)』トップ


 アルファブロガーのお茶会


 フォーク弾き語り、『二色の灯』カバー 


 楽器購入ガイド


 楽器購入ガイド(ドラム編) 


 


 


・自著、『ホテル・琵琶湖イースト』『壁蝨(だに)』について


・笑えるコラム&エッセイまたはショート・ショート↓(腹筋の痙攣(けいれん)にご注意ください!)↓
                 (健康の為、連続でお読みになることはお薦めできません)


         D             A    B   

            Z   θ
      α
 


 


小説


【小説・エッセイに関しては、左サイドバーの記事検索に、例えば「東京家出の記」とタイトルを入れて検索すると、全編が表示されます。下から順に、クリックして読んで、読み終わるとバックスペースで戻るを繰り返してください。(現在公開中の作品が全編読めます)(尚、小説作品中の登場人物名は、すべて架空名称です。現実に、同姓同名の方がいらした場合、その方と作中内容は、まったく関係ありません。ご理解ください。)】
次話の案内がない場合、基本的に、右のページへ何度もめくってください。次話が出てきます。


      『キャバレー・ウエスト・ムーン』(エンターテインメント長編)   
       『癈人つくりて…』ーーートップ(文学)(中編)
      
『ジャズ喫茶ハラダ』(文学)(短編)
      『河口が見えたのに』ーーートップ(文学)(中編)
           『続・ウルトラセブン』(ファンフィクション短編)
   
      あいつのおかげで』(長編)
      『二人だけのテニスコート』(中編)
               『欠落』(ショート・ショート、ユーモア)(短編10枚) 
      『ああ、プロレタリア』(ショート・ショート、ユーモア)(短編10枚)    
      『さまよう』(短編10枚)    
      『寒い夜』(バイオレンス・ショート・ショート)
      『セッション・ドラマー』(短編、青春小説)  
      『ブラック・ブラック』(近未来ブラックユーモア・ショート・ショート)
      『妄想』(短編10枚)
      『ブラウス』(短編10枚)
      『雪は降らなくて』(短編10枚)
      『篠沢有希子さまへ』(短編10枚)
      『室井に会いたくなって』(短編10枚)
      『エクスプローラー』(短編10枚)
      『三年生の夏休み』(掌編)
      『由香は知ってるもん』(短編10枚)
      『三十三年図書館』ーーートップ(中編)
                  『中江警察』(ミステリー、未完)ーーートップ(長編・未完)
      『おれたちの仕事と長い夏』(文学)ーーートップ(中編)


  好評書評記事 ベスト5


               女ぎらい(上野千鶴子著) 


               サンデルの政治哲学ー正義とは何か(マイケル・サンデル述懐)


                  人はなぜ自殺するのか(張 賢徳(ちょう よしのり)著)         


                  だれにでも「いい顔」をしてしまう人(加藤締三著)


               ふしぎなキリスト教(橋爪大三郎・大澤真幸)


                                                                                                                     


           ・書評                              


                              『夫源病(こんなアタシに誰がした)』
                              『せいめいのはなし』
                              『人間の基本』
                              『意識としての自己(自己研究序説)』
                              
『昭和は遠くになりにけり』 
                              
『アリスの機関車』
 
                           
『人はなぜ自殺するのか(心理学的剖検調査から見えてくるもの)』 
                              
『草葉の陰で見つけたもの』 
                              
『むかし僕が死んだ家』 
                              
『しずく』 
                              
『悪と不純の楽しさ』 
                              
『リアル鬼ごっこ』 
                              
『殺人犯を裁けますか?ーー裁判員制度の問題点ーー』 
                              
『anego』 
                              
『季節の記憶』 
                              
『セールスマンの死』
                              『地下鉄(メトロ)に乗って』 
                              
『アサッテの人』 
                              
『枯木灘』 
                              
『光あるうち光の中を歩め』 
                              
『人間は笑う葦である』   
                              
『岬』               
                              
『使徒行伝』          
                  
『「そうだ、村上さんに聞いてみよう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』     


                            『アンソニーーはまなす写真館の物語』  
                            
『「ダ・ヴィンチ・コード」はなぜ問題なのか?』 
                            
『ヤベツの祈り』                   
                           
『ノルゲ』      『こころ』 
                         
『新宿クレッシェンド』   『格差社会スパイラル』  

                       『「苦情」対応力「お客さまの声は宝の山」』 
                       
『人柱はミイラと出会う』    『交響曲第一番』 
                       
『オレ様化する子どもたち』  
       
『インフォドラッグ(子供の脳をあやつる情報)』『他人を許せないサル(IT世間につながれた現代人)』 
                       
『「三十歳までなんか生きるな」と思っていた』 
                       
『ブランドと百円ショップ(知恵働きの時代)』 
                       
『どうで死ぬ身の一踊り』    
     
『キリスト教を問いなおす』『一億稼ぐ! メールマガジン私の方法 銀行口座380円が2億円になった理由』『マンガ フロイト入門』『作家になるには』『私の男』『生者へ』『陰日向に咲く』 

                       『聖書の中の殺人』 
                       
『ホームレス中学生』 
                       
『地獄誕生の物語』
                       『文庫で名作再読』
                       『共生虫ドットコム』 
                       
『作家養成講座(それでも小説を書きたい人への最強アドバイス)』 
                       
『江原啓之物語』 
                       
『十津川警部アキバ戦争』 
                       
『センセイの鞄』 
                       
『アンダーグラウンド』 
                       
『脱コンビニ食!』
                       『文学的なジャーナル』
                       『四国八十八ヶ所感情巡礼』
                       『血で描く』
                       『コールドリーディング』
                              
 


・随想  エッセイ 『壁蝨出版までの断章』         ・『君もドラムを叩いてみよう講座』
            
『現代ストレス解消術』                 1
                                           2
                           ・『小説書きに100の質問』へのアンサー


          ・今までに読んだ本


・ノンフィクション 『第一回、東京家出の記』ーーートップ          10 11 12 13   
                                                                                                                                  14  15 16 17
 


           『僕の病状について』                                                                          


                                                                                                     ・DVDの感想
          
                                                               
『地下鉄(メトロ)に乗って』
                                           『ターミネーター3』


 


【普段の日記的な記事は、サイドバーのカテゴリーから、『真夜中のつれづれ記』『近況』『山雨の動向』『ラフに語る、つれづれ記』などをお選びになってご覧ください。】


・外部へのリンク(山雨乃兎関連)
             


       アマゾンカスタマーレビュー山雨乃兎の書評(モレイラ・マルケスのHNで登録)


       鳥影社ホームページ(拙著刊行の出版社)


 


       アメーバブログ『楽器購入ガイド』 


     CONTACT → yomonn@rk2.so-net.ne.jp  
         (ご感想をお待ちしています。原稿の依頼も、お待ちしています)


         興味の扉(筆者の嗜好による)リンク集


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2017/08/13、つれづれ。 [近況…]

 賞で二次選考を通過したけど、三次選考で落選だった、とコブちゃんに伝えると、


「二次では、アカンで。最低、三次通過せんと」


 と言っていた。


 自分でやってみてから言え。


 実際、三次以降に残らんと望みないけどよ。


 ドリームキラーは、気分を凹ませる。



 幻冬舎からメールが来て、急遽、賞が開催されるので応募してください、との事だった。


 締め切りは、今月末。


 そこで、昨日は、既存の原稿の調整をやっていた。


 原稿は、だいたい仕上がったが、それを『群像』に出すべきか迷っている。


 もともと『群像』に出すつもりで書いていた原稿は、今のところ40枚程度しか出来ていない。話が面白くなるのか、予測がつかない。


 幻冬舎の賞は、分量が好都合なので、まだ打てる玉は、その他にもある。ただし、応募は一点に限られるが。



 そして、話題変わるが、来年の確定申告のことを心配しかけた。


 今は休止している自営だが、或る程度売上を出しておかないといけない。


 帳簿もつけないとね。


 そんなわけで、帳簿や書類を出してきた。

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お盆休みに突入 [近況…]

 10日、食事会でした。


 僕の定番の『焼肉和膳』を食べました。


 肉が石版にくっついて困った。


 食事会を終えて、その足でコブちゃん宅へ。


 焼きそばに、野菜炒め、カレーをご馳走になりました。


 冷房がないので暑い。


 仕事のことや、転売ビジネスのことなど、話題は多岐にわたりました。


 お風呂もいただきました。大きな湯船です。


 そして、今日昼、自宅に帰ってきました。


 冷房が効いてるので天国です。


 原稿をできるだけ書きすすめようと思います。

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賞の結果 [山雨の動向]

 第24回電撃小説大賞


 応募作 『キャバレー・ウエスト・ムーン』


 一次選考・二次選考通過。


 三次選考落選。


 今夜は、残念会です。


 しかし、大手の賞でここまで残ったのだから、今までからすると快挙です。↓


 賞の結果は、→ こちら


 

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『あいつのおかげで』ーーー16(最終章) [自作原稿抜粋]

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 山雨乃兎 近著

 『あいつのおかげで』16
────────────────

 調書作成が終わって家につくと十一時半だった。

 飯を食ったが、食った気がしなかった。

 ハツ子さんと向きあって食べていると彼女は、

「今日、何かあったの」

 と何度も訊いてくる。

 おれは、「一寸な」と返して風呂にはいった。

 身体を洗う気力がなかった。ただ湯舟に浸かりつづけた。

 本條ノートはおれの手元にある。一週間ほど前に今泉さんから返してもらった。このノー

トを表に出さない限り、津野田義男と今泉さんの繋がりも決して漏れることはないだろう。

 ーーー屋台の店主、刺されるーーー

 おれは朝刊の社会面に書かれた、その文字を目にした。

 被害者、今泉勇二さん(49)と容疑者、津野田義男(45)との接点は何なのか。犯行の

動機も含め、その部分の解明が待たれる。と、記事はそんな内容だった。

 そして困ったことには、記事には屋台のラーメン店、『ジョウちゃんラーメン』と、屋号が

出ていた。

 二人でベーコン・エッグと食パンを食べていたが、ハツ子さんも既に記事を目にしたらし

く、息づまる食卓となった。何か有ったのかは一目瞭然だ。それだからなのか、ハツ子さ

んは一言も口を開かない。

 ミンミン蝉が喧しかった。

 おれのケイタイが鳴った。

 久米島さんからで、彼は山下を乗せておれの家に行くと言った。

 十時におれの部屋で三人で会った。

 久米島さんが朝刊を四紙もってきていた。読売、朝日、毎日、神戸の四紙すべてに、今

泉さんが殺された事件は載っていた。

「佐伯、もう屋台は無理やな。それどころか、街を歩いただけで俺ら後ろ指さされると思う」

 久米島さんが弱音を吐くのも無理はない。

 山下は地蔵のように動かない。頭痛で瞼の下がった目で空中を観ている。

「今、中江市中心部に行ったら視線に耐えられへん状態になるやろ。尾上市はもっと都会

やから余計アカン。せやで、お前とこへ来たんや。佐伯、今泉のことで知っとることが有っ

たら言うてくれ」

「前に聞いたレベルまでです。それ以上には知りません」

「それやったら、アイツ、津野田いうのんにも安い金で立ち退かせやったいう事か」

「多分そうでしょう」

 久米島さんは震える右手で頭を抱える。

「多分、警察が聞きまわってくるやろけど、どないする」

「僕らは何も知らんことにしましょう。本條ノートの事を知っとるゆうても、ただそれだけで

す。立ち退かせ、やったんは今泉さんやし、その事には実際、僕らは何も関与してへん訳

ですから」

「そうやな」

 ハツ子さんはコンビニのバイトに出ている。

 自室の窓からは山の緑が見える。蝉の声だけが染みこんでくる。静謐なおれの自室。

隣家のない田畑だらけの郊外。

 久米島さんがおもむろに煙草に火をつけ、喫った。大きな灰皿が座卓の真ん中にあり、

静かな時が流れる。おれは胃液が突きあげてきて消化中のパンが口腔に戻ってきたの

で、慌てて洗面所まで走っていって吐いた。

 同じ二階の元の部屋に戻った。

 誰も動かない。

 会話しようとしない。

 おれは、客をもてなすお茶やコーヒーを出すことすら忘れていたのに今気づいた。

 気がはけそうだ。

 昨日まで苦楽を共にした中心人物の今泉さんが今はもうこの世に居ないのだ。

「済みません。お茶を出すのも忘れてました。今、入れますからーーー」

「否、俺はいい」

「ワイも、今、コーヒー飲む気も起きひんからエエわ」

 山下君も煙草を喫った。

 電池式の柱時計のコイルが何度も反転する秒針の音がおれたちの上に積もる。

「久米島さん。車はどうしましょうか」

 久米島さんは、震える右手で煙草の灰を切りながら、

「放っといたらエエと思う。とり敢えず、放っとくしかしゃあないがい佐伯。奥さんは俺らの

顔も見たいないヨッてねやから、今とりに行っても相手の気を昂ぶらせるだけや」

「そうかも知れませんね」

 おれは、日本茶と沢庵を出した。

 灰皿をとりかえる。旧い灰皿は吸い殻の山になっている。

「山下んとこは、立ち退き料ようけ出んのか」

 久米島さんがそう山下にふった。

「いや、ワイとこは計画対象外やから」

 山下の家は中江市の東の端の郊外にある。

 二人はおれの目を見る。

「ああ、ここも北の端やから……それに借地の上の中古物件ですし」

 おれはそう答える。

 通夜や葬儀には出るのがこれだけの関係となった今泉さんに対する礼儀なのだろう

が、おれたちは出られなかった。せめて、御香典だけでも人にことづければ好いのだが、

ことづける仲介者もいない。

「サエキ商会を畳むなら、資本金をお返ししなきゅいけないですね」

「佐伯、それはエエ。どうせ資本金に喰い込んだままの操業やろ。二年もマトモに給料も

もうとるし、俺は充分や。それで。……佐伯がまた何かする時の足しにしてくれ」

「いや、実は、資本金の一部はーーー」

「佐伯、ええから」

 久米島さんは細い目の奥で笑った。

「これで解散ですか。寂しいですね」

「いや、あいつのおかげでエエ夢みさせてもろた」

「あいつって、今泉さんですか。それともーー」

「本條……」

 おれのなかに或る旋律が浮かんだ。

 おれはその旋律を鼻で歌いだした。

 向かいに座る久米島さんも同じ旋律が浮かんでいたらしく、すぐおれのメロディーにか

ぶさってきた。座卓の左辺に座っていた山下君も後から同じ旋律をかぶせてきた。

♪幸せは、ゴールじゃなくて、積み重ね育むものー、だーかーら、二度とない、この日々を

大切に生きてゆこう。

「『微笑みのひと』か」

 と、おれが言った。

「布袋の曲やのー。ロックばりばりやのに、こんな曲も書くなぁ、あの人」

 と、久米島さんが言った。

 この二年の間に色んなことが有った。

 それでも人は生きてゆくしかないのだ。

「山下君は、これからどうする」

「ワイは、また、就職さがすわ。ワイにとっては元に戻っただけやから」

「久米島さんは」

「俺も、何とかやっていくわ。障害者年金も少ないけど出つづけるし、生保と損保の賠償

金の蓄えもある。まあ、何とかなるモンやて」

 たまには連絡をとり合おうと言いあっておれは二人を玄関まで送っていった。

「それにしても佐伯、エエとこやのー、ここは。静かやし、家も広いし。どうや、新婚生活

は」

「あっは」おれは照れ隠しに笑った。「新婚いうほどでもないですよ。もう二年ちかいんです

から」

「はよう子供つくれよ」

「子供は創らんつもりです。それに、ハツ子さんもう四十七だし」

「そうか」久米島さんは靴の踵を入れながら、「セックスは気持ちエエねやろ」

「何言うてんですか。直球ですね」

 と、おれは言って笑った。

「悪い悪い。妬けるがいのー、山下が」

「ふん。そりゃしゃあない」

 山下君がにんまり顔で応える。

「そうや。今度合コンしよ。山下の為に、俺らも混ざって」

「くめじまさん」

 さらに二年が過ぎた。

 中江市は大きく様変わりした。

 スコラホテルの向かいに大学と付属病院が建ち、製薬会社の工場が市の中心部に二

つと東部に一つできた。学生寮、官舎、マンションが至るところに建ち、昔からある一軒家

が減った。道路は縦横に直角に走り、大型スーパーや家電店やドラッグストアも進出して

きた。学生や講師、教授、医師らが歩く風景が見られ、老人が多かった人口割合も一転

し、二、三十代の若者がぐっと増えた。その人たちの需要から、中心部の専門店街が息

を吹きかえし、大型店とも競合するようになった。

 おれは、あれから再びドクダミラーメンを訪れ、雇ってもらった。

 本條の原稿を手直しした稿が自費系出版社で出版され、二万部を超えるヒットとなっ

た。

 出版社は、今泉邸へ連絡をとり、おれの存在を突きとめ、次回作を求めてきた。おれ

は、筆名だけで媒体には出ないことを条件に、二作目三作目を送った。

 様々な秘密をかかえることで、おれの心は多重構造となった。

 ハツ子さんのなかに居るときだけ、おれはつかの間の安寧に浸ることができた。

「本條の抱えてたものって何なんでしょう」

「佐伯、死んでもたモンの心は永遠に分からない。そら、しゃあないわ」

「今泉さん。そういうアンタだって生き急いだんじゃないですか。今どこに居られるんです

か」

「それは、多分、お前に説明しても分からへんと思うわ。俺も言葉で表しにくい。来たらえ

えわ。二十年後か三十年後に。それでも街は変わったやろ。……佐伯なぁ、俺はなぁ、営

業ばっかりして生きてきたけど、ホンマは何かの研究とかがしたかったんや。自分では出

来ぇへんかったけど、……」

「せやけど、街は研究者や医者で溢れかえってますよ。こんな風になるとは思いませんで

した。そういう意味では、この変化も今泉さんの計画やったんですか」

「阿呆、俺一人にそんな力あるかいな。……せやけど面ろかったわ佐伯、あの二年間は。

エエ夢みさしてもろたわ。それもこれも本條との縁からはじまったんやなぁ」

 本條が生きていれば四十八歳の誕生日を迎えようとしていた。

 六月の長雨の季節だった。

 昼すぎてから一時的に雨雲のあいだに陽が差しこんだ。

 おれは自室から東の空を見た。

 市の中心部の大学の学舎と付属病院棟の真上に弧をえがく太い虹がかかっていた。

                                 

                                             (了)

【引用歌詞、作詞 作曲:布袋寅泰『微笑みの人』】

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播州干し中華麺「職人気質」ラーメンスープ付き 10食入り
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『あいつのおかげで』ーーー15 [自作原稿抜粋]

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 山雨乃兎 近著

 『あいつのおかげで』15
────────────────

 街に東洋人の出稼ぎの人が増えた。隣の市の工業団地のベッドタウンとして中江市は

もう十年ほど前からマンションなどが使われている。英語ではなく現地語で仲間同士で自

転車に乗ってスーパーマーケットなどに行き、かたまって喋っている姿は、おれたち地元

の人間には一種恐怖に感じられた。特に筋骨たくましい腕を見せ半ば叫ぶような勢いで

喋っている男たちは街には違和感があった。そして、ぽつぽつと浮浪者の姿も見かける

ようになった。市のあちこちで一戸建て住宅のとり壊しもはじまった。あまりに多くの地点

同時にとり壊し作業が行われているので昼間でも土埃がたち、そのすぐ上の空は赤く、

さらに上へ目を移すところで狭いグラデーションの帯となり、中空は深い紺色の青空とい

う変わった風景となった。

 そんな八月の或る日、おれと久米島さんと今泉さんと山下は、昨日の鉢を洗いそれぞ

れのワゴン車を洗った後、鶏ガラスープを創る為、車中のガス火をつけて一旦、リビン

グに戻りミーティングをしていた。

 夏場は屋台のラーメンは剰り売れない。冷えたジュースやビールを出すことによってお

れたちは自宅から出てくる客を集めた。

 冷房をまわさないとやってられないほど八月にはいってからは暑かった。

 おれたちは今泉邸のリビングの大型の冷房の風にあたりながらこれから先にラーメン

の他に何をやるかについて話しあっていた。

 玄関のチャイムが鳴ったので今泉さんが席をはずした。

 何やら来客とやりとりしてるらしい声がした後、すぐに彼はリビングに戻ってきた。

「何でもない。つづけよか」

 今泉さんがそう言った後、おれたちは彼の後ろの窓に化け物を見た。

 三人の息がとまる。

 山下は口を開けたままになっている。

「どうした?」

 と言って、今泉さんは振り返る。

 白髪の老婆が窓に貼りつき、どんどん、とガラスを叩く。

 老婆の顔は皺だらけでその弛みで目は半分も開かない。涎を窓につけながら何か呻い

ている。

 今泉さんは小型金庫から千円札を数枚出し、窓を開けて老婆にわたす。

「せいかつが出来まへんのやぁ。何ぞ恵んでください」

「お婆さん、その金で好きなモン買うたらエエがな」

「ワシは犀川いいまんねんや」

 おれと今泉さんは目を合わして背中を凍らせた。

「立ち退きさせられましてな。立ち退き料では家賃も払えんなってまいまして。娘は、どこ

ぞへ行てもてしまいましたわ。ウチには働けるモンが居らへんでェ。……不動産屋が来ま

してなぁ。二束三文やったさかい。たしか、今泉いう人でしたなぁ。お宅は何ていうお名前

ですねん」

 久米島さんが二人を呆然と見る。山下君はテーブルの上のサンドイッチを摘んでうつむ

いて食べはじめた。ややこしい問題に係わらない方がいいと判断したのだろう。

「ともかく、それ持ってどこなと行き」

 今泉さんはそう言うと窓を閉め、カーテンを引いた。

 それでも老婆は窓をたたく。

 今泉さんはステレオコンポーネントの電源を入れ、クラシックのCDをかけた。

「今泉、どういう事どい。立ち退かせか何ぞ、やったんこ」

 久米島さんが首を捻って今泉さんの顔を見詰めて訊く。

「いやー、大したことやない。心配せんとって」

「大したことやないことないやろ。あの婆さん、お前の名前ヨッたがい」

「ええやろ。ラーメンの仕事とは関係ないねんから」

 老婆のたたく窓の音がおれたちに切迫する。

「お前、人に恨まれることしょったら、こっちの仕事も出来ェんなるぞ」

「久米島、どっちが経営者や思てんねん」

「社長は佐伯やろが」

「わかった。説明するわ」

 そう言って今泉さんは目でおれに諒解をもとめた。

 今泉さんが上から『本條ノート』を持ってきて、事の顛末を語った。

 窓を叩く音は、いつしか止んでいた。

「今泉。これ、復讐したるほどのことやないと思うわ。俺は」

 久米島さんがまず言った。

「僕も、本條の方が弱いと思う。罰は神が与えるんやないか。それこそ本條やないけど信

仰的に考えても」

 と、おれが付け加えた。

「ワイ、本條の恨みの気持ちはよう分かるわ。せやけど、そんなことあげつらいよったら、

ワイなんかもっと一杯ある」

 山下も持論を言った。

「誰かが仇とったるいうのが、そないアカンか」

「今泉、俺はそんな倫理観がどうのいう問題より、もっと俯瞰して観なアカンよんね

や。……お前が仇とって、その後はどうなる? やられたらやり返す。その時に前以上の

事をやる。それをやられた相手が又、立ち直ってそれ以上の事をやり返す。やられんよう

にすんには、先に相手を殺してまわなアカンいう事にならへんか」

 おれは、久米島さんの話しはユダヤ教の『目には目を』の教えと同じことを言っていると

感じた。復讐は、受けた傷と同程度に思い留まる必要がある、という教えだ。

「何や、悪いことが起こりそうな気がすんなぁ」

 山下君の呟いたその一言はおれの思いと重なっていた。

「今泉、ともかく、やってもたもんはしゃあないけど、……今さら相手に大金やれとまでは

俺は言わへんけど、今やろうとしとる同なじ様な例があるんやったら、もうそれ止めとけ」

「今泉さん。生き遺った僕らが幸せになることが一番いいじゃないですか」

 おれたちはその後、昼の一時からそれぞれのワゴンで営業にでた。

 暑いのであまり出ないのでおれと久米島さんは、飲みものだけの客も受けいれた。

 三時をまわった頃、おれたちは市の北部の温泉施設のまえで今泉チームと偶然会っ

た。たまにはこんな事もある。

 二つのチームは一時間ほど温泉施設の向かいのコンビニの駐車場で店長に許可をとり

車を二台ならべて営業することにした。

 コンビニの隣には大きな更地ができていた。そこでは土方などが基礎工事のためパワ

ーショベルや掘削機で穴を掘っていた。どうやらマンションが建つようだ。土埃がこちらに

まで少しとどいていた。

 クラブ活動で道を走る学生。市営のプールから帰る自転車の児童。中江市の路は新し

く建つマンションなどに水道を供給する為、いたる処で掘りかえされていた。片面通行と

なった路には警備員がたち車を通す。悪路をものともしない自転車の児童や生徒たち。

 少ない客を捌いていると遠くから、県道を大きな群れが歩いてきた。

 彼らは時代遅れの服は着ていなかった。サマースーツや薄いブレザーを着た者も居た。

ポロシャツにコットンパンツ。Tシャツにジーンズ。だが、その衣類は少し草臥れかけてい

た。彼らは浮浪者になってまだ日が浅いのだった。

 おれは浮浪者に一杯ずつ奢ってやってはどうかと他の三人に持ちかけた。

「まあ、ずっとやなかったらエエけど」と、今泉さん。

「ワイも賛成」と、山下君。

「俺も。……まあ人救けや」と、久米島さん。

 彼らはこちらが招くまでもなく椅子に座った。

「ラーメンでいいですか」

 と、おれが訊く。

 彼らは声を出さずに頷いた。

 五人が食べている処にさらに六人の浮浪者が来た。

 金を出そうとする初めの客に、「今日はキャンペーンだから只でいいです」とおれは言っ

た。

 さらに六人が来て、彼らにもラーメンを出した。

 一般客も含めて一旦波が退いた。

「ホナ、そろそろ河岸変えて。分散しましょか」

 おれは道路に向かって左側の今泉さんの軽ワゴンの方を向いて言った。

 ストレッチャー式テーブルの鉢を片づけていた今泉さんの顔が少し曇った。

「うう…」

 その場に沈みこむ今泉さん。

「どうかしました?」

「おお!」

「佐伯! 救急車! 山下! 警察!」

 久米島さんが大声を挙げた。

 久米島さんは色の黒い中背の目つきの暗い男を羽交い締めにしている。久米島さんは

巨漢だが左半身に力が足りないので心許ない。男の手には刃わたり六〇センチはある

包丁が握られている。

 おれは、落ちつけ落ちつけ、と自分に言いながら市外局番に続けて119と押した。

「山下! 奴を抑えろ!」

 おれは電話がつながる前に山下に大声で指示する。

 山下は男と向き合う形で近づいてゆくが躊躇している。

 久米島さんが羽交い締めにした格好のまま奴の拳を健常な左手で渾身の力で叩く。

 おれはまわり込んで、今泉さんの姿を探す。

 遅かった。

 パイプ椅子の脇に倒れた今泉さんの周りには直径二メートルほどの厚い血溜まりが出

来ている。

「こらー!!」

 おれがそう叫んで肚に蹴りを入れるのと、山下が奴の両脚を抱きかかえるのがほぼ同

時だった。

 男の手から包丁が飛び、ストレッチャー式テーブルの上に滑るように落ちた。

「山下! 警察!」おれはそう言ってから男に向きなおって叫ぶ。「お前の名前は!?」

「オイ! しっかり喋らんかい!?」

 今度は背後の久米島さんが恫喝する。

 久米島さんの喉締めにあえぎながら男が名を言った。

「ツ・ノ・ダ…ヨシオ……」

 今泉さんは救急車で運ばれた。

 手錠をかけられた津野田義男とおれたちは警察の長い現場検証に立ちあった。

 人だかりができている。県道を走る車もヘッドライトを点けたままのろのろ運転をする。

容疑者津野田と今泉はどういう関係なのだ。君たちと津野田にも関係はないのか、と、刑

事はしつこくおれたちに尋ねた。おれは面識もないし、さっぱり判らない、とシラを切った。

 おれたち三人は車を置きに今泉邸へ戻った。

 玄関を開けて小学生の息子が出てきたが何を話す訳にもいかなかった。

 おれたちは久米島さんの車に同乗し、中江市市民病院へ向かった。

 今泉さんの奥さんと娘、それに親戚らしい人が救急処置室の廊下に集まっていた。

 目を赤く腫らせた奥さんがおれに近づいてきておれの胸を拳で叩いた。

「佐伯さん。アンタに会うてなければ主人は死ぬようなことはなかったんや。主人を返し

て! なぁ! 主人を返して!」

 今泉さんは救からなかった。

「アンタらには葬式には出ていらん! もう二度と、私のまえに来んといて!」

 親戚らしい男が奥さんの身体を戻した。

 おれたちはその場に居た今泉さんの親戚三人に夜間通用口を出たところへ誘導され

た。

 長い追及をうけた。

 犯人の事をアンタらは知らんのか。どういう状況で事件は起きたんだ。

 おれたちは帰途についた。皆、動転している。これからの事もこれからの事以外にも三

人で話す必要があった。

 しかし、おれは調書作成の為、警察署に呼びつけられていた。

「久米島さん、山下君、僕、まだ警察に行かなアカンから、今日は散会しよ。明日でも一

遍ゆっくり話そう。連絡するから」

 おれは今泉邸のまえで降ろしてもらった。

 カワサキLTD400に乗りかえた。

 深い霧のなかに点滅信号の赤がうっすらと明滅していた。時計を見ると十時をまわって

いた。

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『あいつのおかげで』ーーー14 [自作原稿抜粋]

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 山雨乃兎 近著

 『あいつのおかげで』14
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 おれはハツ子さんを見送った後、部屋で本條の小説を打ち直しはじめた。

 肋骨と歯が疼くが仕方ないことだった。

 翌々日、買った家にとりあえずの荷物を入れた。ハツ子さんも少しだけ鏡台などの荷物

を入れ、おれたちの結婚生活が実質上はじまった。

 おれは、ハツ子さんに『ジョウちゃんラーメン』の仕事のことは伏せたままにした。

 少しずつ荷物を入れた。

 実際にあばらが未だ痛いし、医者が仕事をするなと言うのだから、おれは二週間待た

ねばならなかった。屋台は上手くいっているだろうか、とときどき思いながら、おれは本條

の原稿を打ち直した。プロバイダ契約をして家に光ファイバーを導き、久米島さんの金で

株の電子取引もはじめた。ハツ子さんはドクダミラーメンに相変わらず午前十時から出勤

した。ときどき須藤さんの元気な様子も漏れ伝わってくる。最近はスコラホテルでの会合

の為に集まった背広姿の中年の客が多いらしい。ハツ子さんはときどき尾上市の実家に

帰って母親やお手伝いに会ってくる。当座の生活資金は今のところハツ子さんの亡き父

君の貯金から流れてくる。彼女は夕食だけは必ず自炊した。彼女のつくる料理は和食が

多く旨かった。炊いた魚や煮た野菜の料理が上手だった。

 おれたちが住んだ中江市西部の中古物件は、夫婦二人には些か広すぎた。前栽もあっ

たが、とりあえずは手入れをするのは先のばしにしていた。中江市の西部の峠の脇道を

はいった所にあった。山の東向きの斜面の中腹だったので日の入りは暦よりも少し早か

ったが、午後の残り日の時刻は陽光がはいって、特に二階の角部屋はぽかぽかと暖か

かった。

 おれは一日中家に居るのでリキッドガスを頼んでいる業者や実家から転送されてくる手

紙を運んでくる郵便局の職員とは言葉を交わすようになった。おれは印鑑を扱う中江市

の店に行って自分の表札をつくり、引き戸の玄関の上に掲げた。

 おれたち夫婦は異性同士として愛し合っているとは言えないのかも知れない。お互いを

求めあって結婚したという訳でもなかった。性の捌け口としてすぐ隣に居てくれることが便

利だという理由かも知れない。四十代になっているおれたちの性交は時間をかける濃厚

なものだった。お互いにそこまでは訊かないが今までの相手によって性技が鍛えられた

のだろう。他の面では、おれとハツ子さんは友だちか幼なじみのような言葉のやりとりだ

った。

 この家からでは今泉さんの家まで通うのが遠いのでおれは、金は必ずあとで返すから、

と言ってハツ子さんに金を出してもらい、中型の単車を買った。中古のLTD400という。

 歯医者に通って継ぎ歯を入れた。

 十一月になって殴られてから二週間たって肋骨の痛みもなくなったので、医者の診断は

受けずにおれは久しぶりに今泉邸へ出勤した。

 おれが居ない間、三人で軽ワゴンの方で営業したと皆が言った。

 三人でどうやってあの車に乗車したのだろうとおれは疑問に思ったので口にした。

 荷台のスライドドア附近の僅かな空間に三人の内の一人が交替で丸まったらしい。

「大分、客が定着してきた」

 と、今泉さんが言った。

 今泉さんの後ろで久米島さんがおれだけに見えるようにウインクした。

 鶏ガラと豚の背脂を仕入れて、午前中に日毎に交替でスープを創っているらしい。

 おれは、それぞれのチームが仕入れは独自ですることになりかけていたのを思いだし

た。

 今泉さんがおれの表情を見ておれの考えを察したのか、

「ええよ、佐伯。原材料の仕入れは、これからも俺がやる」

 と言った。

 十一時になって今泉・山下チームが出発した。

 おれは久米島さんに促され、大型のワゴン車の鍋で、久米島さんと一緒に鶏ガラスー

プ創りをした。今泉チームより二時間遅れとなってしまうが、急に出勤したのだから仕方

ない。

「佐伯、今泉は商売人風な動作が、板についとるわ。それで人気が出るんやろう。アイ

ツ、車停めてエプロンつけたら昔からやっとるラーメン屋の親父に見えるもんな」

 久米島さんは鶏ガラのはいった大鍋に震える両手で水を入れながらそう言った。

 おれも久米島さんの横からポリタンクにはいった水を大鍋に入れた。

 鍋が沸騰してから弱火にして蓋を閉め、おれたちはリビングルームに戻った。

 奥さんは今日は居られなかった。他人の家で勝手にくつろいでいるのは妙な気分だ。

 ソファに対面で座った。

 久米島さんはガラスのテーブルに読売新聞を展げて置き、黙読している。

 おれはテレビの横のラックからゴルフ雑誌をとり捲りながら写真を目で追う。

 四十を過ぎた者だとゴルフをやる奴はどっぷりと浸かっている年代だ。おれは打ちっ放

しで打つことはあるが、コースに出たことはない。自分のクラブも一つも持っていない。ア

イアンのキャビティーバックとフラットバックの特性の違いが分かる程度だ。反撥性が高く

てよく跳ぶが重心が高くスウィートスポットが狭いフラットバック。最近では反撥性も高くな

ったが元来、反撥性が低く、しかし重心が低くてスウィートスポットが広いキャビティーバッ

ク。おれはややスライス気味にドライバーで百六十ヤード飛ばす程度だ。パターは打ちの

強弱で距離を丁度に合わせることが苦手で、ラインの読みが当たったときにだけ気分よく

カップに収まる。久米島さんなら、事故に遭うまえはゴルフに嵌っていたタイプではない

か、等とおれは考えながら雑誌を捲る。優勝カップを手にして喜色満面の男子プロが顔

面から汗をしたたらせている。

「何か、他の商売も始めななぁ」

 紙面に目を落としたまま久米島さんが言う。

「えっ」

 おれは一瞬、何のことをどうと言われたのか分からなくて一言を返した。

「ラーメンは確かに順調やけど、男四人の給料がはじきだせるモンではない。これから、

もっと売れたとしても無理やな」

「そうですか」

 おれは、この話しの流れでは「資本金の備蓄を運用すべきだ」という主旨の言葉が久米

島さんから出そうで、他愛ない世間話の話題も浮かばなくなって黙した。それが不自然に

見られるとまずいと思うので余計、雑誌を注視する。

「俺が今泉に渡した二百はまだ残っとるんやろ」

「ええ」

「事業が思い浮かばんねやったら、株に投資してみんのも手ェかも知れへんなぁ」

「そうですね。今泉さんに、その辺のこと言うてみますわ」

 おれは心のなかで胸を撫でおろした。おれのとった行動が、久米島さんから測て悪でな

かったことが救いだった。ただ、隠れて先に行動を起こしたことは責められるべきだが。

黙す。黙す。ただただ、株への投資が吉と出てくれることを願うばかりだ。

 煙草を喫ったり、おたがい交替して新聞を読んだりした。おれはテレビはあまり見ないの

でスイッチを入れなかった。久米島さんもリモコンのスイッチを押さなかった。

 窓越しにトンビが旋回する姿が見え、遠いボイスタワーから、童謡ふる里の旋律が聞こ

えた。

 一時になって自分たちの分のラーメンを創って食べた。

 自分たちのスープをとった後、鍋に水を足し、さらに一度沸騰させる為に強火にする。

 本格派の味になっていた。

 辛さと適当な脂が大人の脳に心地よい。

 車を出して河岸を決めてチャルメラのメロディーを流すと客が詰めかけた。何という落差

だろう。行く所、行く所客の波だった。左足と右手に力のはいらない久米島さんは左手で

テーブルに鉢を出していった。おれもてんてこ舞いしながらラーメンを創り、鉢を運ぶのも

手伝った。客はそれぞれ帰る段になったらさりげなくワゴンの側面に書かれた『ジョウちゃ

んラーメン』という文字を憶えていった。

「何で『ジョウちゃんラーメン』って言うの」

 と、今日一日で三回尋ねられた。

「僕の同級生の名前からとったんです」

 その度におれは本條の自殺のことにまでは触れずに、客にそう答えた。

 百玉が夕方七時にはなくなった。

 大体、百出た処で上がりにしたらいいと、毎日今泉さんが言っていたらしい。それを久米

島さんから聞かされた。第一、もうスープが空っぽだ。

 おれは帰りの車を運転しながら鼻唄をうたった。

 本條がおれたちにツキを繰れた。本條という男が居なかったら、おれたちが出会うこと

もなかっただろう。

(あいつのおかげで)

「本條に礼を言わんといかんなぁ」

 助手席で久米島さんも鼻唄をうたっていた。

 ーーー淋しさに消え入りそうな月の灯りの下、

 ーーー俺たちの報われない愛が有った。

 何故だか二人とも同じ旋律をうたっていた。久米島さんやおれたちの青春時代の羨望

の男、甲斐よしひろの曲だった。

 七時半に今泉さんの家に帰りつくと、今泉チームも帰っていた。

 おれと久米島さんは車の外側を簡単に洗車してからリビングにはいった。

 奥さんも帰られていて子供もはしゃいで走りまわっていた。奥さんが創られたサンドイッ

チをいただく。

 今泉さんから給料をもらった。本来なら会計も含めておれが取り仕切らなきゃならないの

だとおれは心中で思った。

 その場でおれは金を確認した。

 三万はいっていた。

「今泉さん、おれ先月、そんなに売上あげてないで」

「まあ、気にするな。先月は半端やったからそれ位で、まあ、勘弁してくれ。給料は誰も生

活がかかっとんねんから、来月からはマトモな額だせる」

 山下がおれの向かいで微笑む。久米島さんは今泉さんの息子の相手をしている。皆そ

れぞれの表情が明るい。

(やっと、目鼻がついてきたか)

「今度から、夜泣きラーメンしたかったら自由にスタート時間、変えよう。それぞれのチー

ムで」

 今泉さんが久米島さんの手につながれた長男の頭を撫でながら提案した。

「ホンマ、こんな早う完売してもたら夜泣きラーメンにならへんね」

 久米島さんがそう返すと、皆がどっと笑った。

 一時間ほどの歓談のあと、解散した。

 おれがエンジンをかけると、同じタイミングで帰る久米島さんが赤い車から顔を出した。

「佐伯、バイク買うたんこ」

「ええ、まあ」

 フォーストローク四気筒の地響きで会話の声がとおりにくい。

「事故んなよ!」

「事故りますかいな!」

「明日、三時のーーー」

「はい」

 久米島さんのはじけた笑顔がLTD400のヘッドライトに浮かびあがった。

 おれはクラッチを繋ぎスロットルを引いて帰途についた。

 その晩、ハツ子さんがドクダミラーメンから帰ってきたのは十時半だった。

 おれはハツ子さんに仕事を辞めてくれないか、と話した。

「すぐに今の仕事が軌道に乗るわけやないけど、アンタには家に居てほしいんや」

「そう。佐伯君がそう言うなら辞めてもいいけど。別に、お金に困ることもないしね。だけ

ど、すぐには無理よ。ドクダミ、須藤さん一人になっちゃうし」

 翌日、早く目覚めたおれは、十時になって今泉さんのケイタイにかけた。日曜だった。

「僕です。佐伯です」

〈ああ、佐伯〉

「今いいですか。周りに人は居ませんか」

〈おお、俺一人やけど何?〉

「本條の原稿、一つ終わりまでやっつけましたけど」

〈おう、そうか。ホナ悪いけど書き留めでこっちに送ってくれっか。せやないと、誰ーれも居

らんタイミングいうのがないから〉

「分かりました。それと、本條のパソコンのハードディスクの問題はどうなってます?」

〈ああ、それ、こないだ原稿の一部を返しに行って、部屋、上げてもろて、USBメモリー接

続してウイルス仕掛けてきた。今のとこ誰も気づいてないと思う。世の中に出回ってない

ウイルスやから、完全や。何回か起動さしたら、そいで終わりや〉

「ひどい話しですねェ」

〈まあ、佐伯は深う考えんこっちゃ〉

 今日は、おれたちのチームは三時に出勤すると告げて、おれは電話を切った。

 『円環の果てに』というタイトルだった。

 主人公の祈りによって彼の妻を含む大勢の人々が復活し、殆どが息絶え、妻の生を確

保し、安寧を得た主人公が最終的には蘇りの不完全だった女のゾンビに殺されるという

話しだった。

 おれは本編に随所に改訂を加えた。一文一文、言いまわしを変えた。内容は全く変わっ

ていない。

 コンビニまで単車で行き、エックスパックを買い、今泉勇二と宛て名を書き住所を書き、

互いのケイタイ番号を記し、原稿とデータのフロッピーを一緒に入れて封をして局員に渡

した。

 朝起きたときからハツ子さんの姿は見かけなかった。どこかへ車で出掛けたらしい。お

れたちは多分、ダブルインカム・ノーキッズと呼ばれる生活スタイルを選ぶだろう。おれは

ハツ子さんに仕事をしてほしくないとまでは思っていない。ただ、夕方以降は家に居てほ

しい。おれの仕事が今後遷りかわっていったとしても、二人で働いてその収入で子供の為

の経済的負担なしで一生やっていくだろう。ハツ子さんの実家のお金に頼ることも出来る

が、ずっとその状態では人生つまらない。

 高度な専門職でなければ、おれは何でもできる。それに、本條のような実現不可能かも

知れない夢への幻想は持たない。社会に韜晦する個であればそれでいいのだ。死後の

世界とか神にすがるとか永遠の生命などといったものは、本條は信じていたようだが、お

れは端から否定する。第一、そんなものを信じていた本條自身が自殺というキリスト教で

は絶対に天国へ行けないとされる行動を起こしている。自らにより頼み、自らが優れない

ときは流れに任せていればいいだけなのに、何故、そこまで深く考える、追究する。有

るのか無いのか解らないものに。固執して自滅する。何故だ。本條。

 ラーメンは好調に売れつづけた。

 十一月の半ばになった或る日、おれと今泉さんは二台の屋台ともを休むことに決めた。

 昼頃、おれは個別に今泉邸に招かれた。

「実は、内々に話しがあってな」

 用件から先に話す今泉さんのこういうところがおれは好きだ。

 水曜の昼なので誰もいない。奥さんは多分パートに出ているのだろう。二階の彼の書斎

のような部屋に柔らかな冬の陽が溜まる。

「本條のノートがらみねんけどな」

「ああ、あれですか」

「俺は、アイツの無念、晴らしたろうと思う」

「どういう事ですか」

「アイツを侮蔑した奴らに復讐してやろうと思う」

 おれはセブンスターに火をつけ、ひと息すいこんだ。

「今泉さん。復讐するほどのことでもないですよ。本條が受けた侮蔑なんか、世の中にい

っぱい有りますよ。

本條が弱いんですよ」

「そう思うか。たとえアイツが弱かったんやとしても、自殺しとる。おそらく、そういう侮蔑の

言葉が重なって」

「それでも、アイツが、そういう奴とかかわらんかったら、それで済んどった話しかも知れま

せんし。死んだ奴のことなんか、どうでもええやないですか」

「佐伯は、アイツが死ぬ寸前はまったく付きあいがなかったんやろ。せやから、アイツの辛

さが分からへんねやと思う」

 そう言われれば返す言葉がない。確かに、おれの知っていた本條はスタンドマンでドラ

マーで快活な本條。小説を書く本條はおれはしらない。

「それで、具体的に何をどうされるんです?」

 今泉さんも煙草に火をつけた。

「これは誰にも言うてもうたら困る話しねんけどーーー」

「大丈夫です。僕は余分なことは口にしない男です」

 今泉さんはケントの煙を大きく吸いこんで長く息を吐いた。

「中江市に大学病院の誘致話しがある。オマエも知っとると思うけど東部のゴルフ場の近

くに何かが建とうとしとるやろ」

「そういえば、かなり広い、土地の造成してますね」

「あれが第一弾、製薬会社の工場や。五年がかりで中江市は大改造される。大学と医療

の街になる」

 今泉さんは何が言いたいのだろう。

「それで」と、おれは先を促す。

「スコラホテルの向かいに大学が建つ。製薬会社の工場も合計二社分の三軒が建つ。市

の中央にも。官舎や寮も建つ」

「ええ、そんなにようけ建ついうことは、大学なんか敷地とるし、……つまり、大幅な立ち

退きがある、いうことですか」

「そうや」

「ホイでも、充分な立ち退き料はらうんでしょ」

「そこや。……本條ノートに在った奴らを、二束三文で立ち退かす」

「………」

 何故、この人はここまでこだわるのだろう。本條。死ぬまえの本條が粘着質になってい

たと同様、この人も固執している。

「お前には何をしろ、とは言わへん。唯、知っといて欲しかっただけや」

「なんで僕に話されたのか、それでも僕には分かりません」

「そういうことで、この話しは終わりや」

 今泉さんはそう言ってから立って窓を二方向あけ、冷たい空気を入れた。

 或る日の晩、ハツ子さんに尋ねられた。屋台で働くおれを見たと言う。もう隠しておけな

くなったのでおれは今泉さんとの起業から今までのいきさつをざっと話した。

「そうなんだ。でも、須藤さんに義理わるいねェ」

 まったくその通りだが、須藤さんにいちいち言っていくのも余計わるいだろう。

 師走になってハツ子さんは新人に引き継ぎしてドクダミラーメンを辞めた。

 東部の製薬会社の工場は棟上げも終わり外壁も出来、二メートルくらいの塀も張りめぐ

らされてそれらしい形になってきた。

 中江市のあちらこちらにちらほらとマンションらしいものが建つ気配があった。マンション

用地と書いた看板が点在してきた。

 次の年になって早々、市長の選挙があった。

 三週間の選挙合戦のあと、現職の市長が再選された。

 ジョウちゃんラーメンは順調だった。

 三月になって市長が市民会館で演説し、その夜ケーブルテレビで市長が中江市改造計

画を市民に話した。

 医療の街になる。否、それよりも段階的な大幅な立ち退きがあるということが殆どの市

民にとって寝耳に水だった。

 翌日、市役所に市長に反対する人々が押しかけた。だがその日は大規模な暴動にまで

はならなかった。押しかけたのは定年退職者や主婦だったので力がない。

 そのうちに市長リコール運動が起こった。

 しかし、市長擁護派の団体も自然と形成された。リコール運動の代表は六人だったが

全て女性だった。昼間勤めに行くノルマのない人間が大体こういう運動のまとめ役にな

る。目立ちたい、つまり売名の動機もあるようで、彼女たちは週刊誌のインタビューなど

へどんどん露出していった。

 おれは家では久米島さんの金で相変わらず株の電子取引をしたが、一年目の今は元

金の三分の二まで減らせてしまった。今泉さんとはたまにケイタイで話すが彼も久米島さ

んが資本金にと渡してくれた金を株の取引に使っているらしい。彼は三倍に増やしたと言

っていた。

 ジョウちゃんラーメンは相変わらず繁盛している。ときどき今泉邸へ会計処理を手伝い

にいくが順調に売り上げは出ている。しかし、四人のひと月の月給として捻出できるの

は、一人12万程度だ。けれども皆、納得しているし、給料だけで生活しなくてはならない

者は一人も居ないので救われている。久米島さんには二級身体障害者の年金も有るし、

相手の任意保険から出た賠償金も有る。今泉さんはおれの知らない処で土地の転売な

どをやっているようだし、細君も働いている。山下君はイザとなれば両親の一億の貯金が

るし、実家に生活費も入れていない以上、自分の小遣いだけでいい訳だ。おれも何割

かはハツ子さんの実家の金に頼っている。

 市長が改造計画を公言してから二年目の三月に大学病院と大学用地の地区の広範囲

の立ち退き交渉がはじまった。これが実質、計画の第二段階ということになる。

 土地の現在の利便性、つまりその土地に居ることによって現在までどのような快適さを

得ていたか、と、それぞれの家の査定によって立ち退き額は異なった。だから立ち退く方

も幾らの額を受けたかを公にしようとはしない。

 立ち退かせには丸山不動産と他数社が当たった。

 こういう秘匿性を利用しておそらく今泉さんは例の行動に出るのだろう。

 ハツ子さんはコンビニにアルバイトに行きはじめた。おれたちは三ヶ月に一度くらい、神

戸に行き、博物館や美術館を観てまわってシティーホテルに泊まり洋酒を飲んだりした。

ハツ子さんは家でも油彩画をはじめた。市の絵画教室の仲間が家に来ることもあった。

 結婚して数ヶ月たつとおれは今泉さんや久米島さんにからかわれるようになった。籍を

入れたことはジョウちゃんラーメンのメンバーにはいつまでも黙っていたが、結局は二人

でスーパーで買い物をしているところを今泉さんに見られ、皆に知れた。最近では、二人

に「子を創るべきだ」と言われるので、おれは少し圧迫を感じている。

 ハツ子さんはよく、おれをスケッチした。おれの肖像画を油彩でも描きはじめている。お

れなどを描かなくても、片平川とかスコラホテルとか、いくらでも好い題材があるのにとお

れは思う。

*【引用歌詞、甲斐バンド、『汽笛の響き』】

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『あいつのおかげで』ーーー13 [自作原稿抜粋]

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 山雨乃兎 近著

 『あいつのおかげで』13
────────────────

【ブログ上では、表現の限界があるので、一部を伏せ字にしました。ご了承ください。】
【作品中の登場人物名は、すべて架空名称です。】 

 車はおれが運転するしかなかった。久米島さんは左足でクラッチを踏めない。

 今泉邸に戻ったが今泉チームは帰ってなかった。

 奥さんと子供たちに出くわした。どうされたんですかと奥さんと子供が呻くような小声で

言った。

 ともかく病院に行くべきだと、久米島さんに諭されて、久米島さんの赤い車で中江市市

民病院に向かった。車中から久米島さんがおれのケイタイで今泉さんに連絡を入れた。

「今日は早めに拠点に戻ってくるやて。おれらも診察が済んだら一遍、今泉の家に戻ろ

う。アイツに話し聞いてもらわな」

 通話のあと、久米島さんが言った。

 病院に着いて救急窓口から久米島さんが診察を頼んだ。

 傷口の手当てをした後、医者は、明日必ず外科を受診してレントゲンを撮って下さい、と

言った。

 診察室を出ると警察官と刑事に行く手をはばまれた。

「佐伯さん、これは傷害事件ですからね。親告罪じゃないですから。しかも、一方的に殴ら

れた訳だし」

 おれは調書をつくるからと言われてパトカーに乗せられ、警察署に連れていかれた。パ

トカーに乗せられるのは何とも気分が滅入った。

 警察では、相手はどんな男たちだった、としつこく訊かれた。

 工藤組と名乗っていた、とおれが告げると五十人くらいの男の写真を次々に見せられ

た。

 そのなかに、革ジャンパーの男の顔があった。

 葛城という工藤組の構成員らしい。

「それで、お宅ら、みかじめ料払ってるの」

「ええ、一緒にやってる今泉さんがヤクザに払ってる筈です。工藤組かどうか、僕は知らな

いんですが」

 刑事は煙草に火をつけて長いひと息目を吐いた。

「佐伯さん。暴対法(暴力団対策法)が出来てからは、そんなの払わなくてもいいんです

よ。先に警察に相談してくれたらよかったのに」

 十時頃、パトカーで今泉邸まで送ってもらった。

 鑑識係がおれたちのワゴンの写真を撮ったり指紋を採取したりしているのを尻目に、お

れは玄関をくぐった。

「佐伯、災難やったな」

 全員が居間で待っていてくれた。

 奥さんに温かい牛乳を勧められたが、おれは牛乳が苦手なので丁重に断ってコーヒー

を頼んだ。

「工藤組には、みかじめ払とんのにのぉ」

 今泉さんが重たい息で言う。つづけて、「幹部に言うといたから、今回のような事はもう

ないわ。安心せえ」

 それから全員でミーティングとなり、明日、明後日と二日休みと決まった。身体を休める

ことと、それぞれのチームで仕入れをすることが宿題となった。

 山下は今泉さんに、おれは久米島さんにそれぞれ自宅まで送ってもらった。

 久米島さんはケイタイが毀れてしまったので、自宅の番号を書いたメモを呉れた。

 傷が多いので風呂にはいるのは止めた。

 ベッドに横たわると左の肋骨の下の二本が疼いた。

 ハツ子さんからケイタイにかかってきた。明日の昼から婚姻届を出しにいくことにした。

 翌日、病院へ診察を受けにいった。

 窓口で昨日の事情を話すと待ち時間なしに外科の診察室へ通された。

 レントゲンを撮り、フィルムを持ってふたたび診察室に戻った。

 医者は肋骨にひびがはいっていると言った。

 治るまで仕事はしてはいけない、と言う。胴に巻くギプスはないので酷かったら入院して

ベッドの上で絶対安静だが、そこまでではない。とりあえず身体を剰り動かすな、と言う。

診断書を書くので警察に提出してください、と言われ、診察室のまえで待った。

 警察から要請があって、それですぐに診てくれたという訳だ。

 今日は、母の原付を拝借してきていた。

 診断書には、全治二週間と書かれていた。それを持って警察署まで走った。

 事情聴取のときの刑事に会った。

「葛城は逮捕したから」

 診断書をわたすと書類作成費用を返してくれた。

 もう一人の男は前島と呼ばれていたのを思いだしたが、今さら進言する気にもなれず、

おれは警察署を後にした。

 家に原付を戻して徒歩で出た。

 待ち合わせの喫茶店へ向かった。途中、ドクダミラーメンのまえを通った。暖簾がかかっ

ていて、数人の客が出這入りしていた。ハツ子さんは今日は休んだんだろう。須藤さん独

りで今日は大変だろうなぁ、とおれは自省した。

 喫茶店につくと、十二時にはまだなってなかったが日替わり定食を註文した。定食のロ

ースカツは手ごわかった。おれはポテトサラダと味噌汁と漬け物で飯を食い、サンドイッ

チを註文した。

 ボイスタワーの童謡ふる里が店内にも微かに聞こえた。

 会社員らしき客がばたばたと数人はいってきた。

「早かったのねェ、佐伯君」

 下田ハツ子が、いつの間にかおれのまえに座っていた。

「ああ、用事があったから、ついでで動いたんだ」

「どうしたの、その歯」

 奇妙な笑みまじりに驚きを顕す。

「ああ、一寸、仕事のトラブルでな」

「トラブルで何よ。ヤクザに殴られたの?」

「その通りや」

 ウェイトレスが註文を聞きににきて、ハツ子さんはコーヒーを頼む。昼食は摂ってきたよ

うだ。

「仕事でヤクザに殴られるって、それ、どんな仕事なの」

 おれもコーヒーを頼んだ。

「それはまた、おいおい話すから」

「まあ、いいけど……っふっ」

 ハツ子さんは何が可笑しいのか噴きだし、声をあげて笑いだした。

「何が、可笑しいの」

「だって、アンタの顔、まるで間抜け」

 おれは昨日から舌で数えるのを何度かやっているが、上の前歯が四本、歯ぐきのすぐ

傍から折れている。

「トンカツが切れへんねや」

「そら、そうでしょ。その歯では……前歯が千切る為の歯なんだから」

 一時に市役所に行って婚姻届をその場で書いて出した。おれの方は二度目の結婚な

ので書類を書くのは馴れている。新婚生活の住所はとり敢えずおれの実家とした。

 ハツ子さんのセルシオで中江市の西部の郊外の中古物件を見にいった。

 その後、すぐ不動産屋に行って契約した。

 色々逡巡しても意味がない。住んでみて環境に問題があればすぐ売ればいいのだ。

 ハツ子さんに金を出してもらったが、自分が不甲斐ないとは思わなかった。唸るほど金

を持っているのだから、頼れるところはたよろう。

 ハツ子さんが、おれの住んでる家を見たいと言うので、おれは仕方なく実家へ道案内し

た。

 玄関で母と出会してしまった。

「初めまして、私し、下田ハツ子と申します。佐伯さんとはお仕事で知り合いまして、どう

ぞ、宜しくお願いします」

 母は一瞬、唖然としたが、すぐに態勢を立てなおした。

「ウチの圭吾は常識も鈍いようなボンクラやけど、どうぞ仲ようしたってな」

「いえいえ、とんでもない事でございます。私しの方が不躾な方で、こちらこそ宜しくお願い

します。お邪魔いたします」

 流石は大きな家で育った女だ。こういう時の挨拶をわきまえている。

 おれたちは、おれの自室へと階段を上がった。

 へーえ、こういう所に居るんだ、と、ハツ子さんはしばし感慨にふけっていた。

 お互いにベッドに腰かけたまま、おれはそうしたくなったので彼女に抱きついてキスをし

た。

「佐伯くん。血の味がするで。それ、早いこと歯医者いかなアカンのんちゃう」

 口のなかの出血は止まりにくい。確かにハツ子さんの言うとおりだった。

「あの、私、さっきお母さんに挨拶したけど、あれだけでエエねやろか。結婚のこと

は……」

「構へん構へん。おれもバツ一やし、お互い、こんな歳なんやから、それに、母親と一緒に

住む訳ちゃうし」

 それからハツ子さんはそれを初めて見た珍しさからかしばらくエレキベースを弄くってい

た。

 母が階段を上がってきて湯のみと緑茶のはいった急須を置いていった。

 おれは、ケイタイから今泉さんのケイタイと久米島さんの自宅にかけて、肋骨に罅がは

いっているので二週間は仕事が出来ないと伝えた。

 久米島さんは「おれ一人やったら屋台出せんから今泉と三人で一台でやるのか今泉に

訊いてみるわ」と言った。

 今泉さんは「そら災難やな。ホナらも一つの例の仕事の方、進めといて」と言った。

 例の仕事とは、本條の原稿の件である。

 おれは二件の電話を終えると、木机の椅子に座って原稿の一束をとり机上に置いた。

 何、それ、とハツ子さんが近づいてくる。

 本條という自殺した同級生が書いた小説だとおれは説明した。

 こんなにあるのか、という意味のことを言ってハツ子さんは驚き、ダンボール箱のなかを

吟味する。

「それで佐伯くん、この小説どうかすんの」

「いや別に。気晴らしに読むだけやけど」

 ハツ子さんにもこの件は言えない。夫婦は何もかも分かちあうというけれど、おれは、い

くつかの秘密をかかえたまま、生きてゆくのかも知れない。腹に何かをかかえて生きるの

が大人なのかもしれない。

   *   *

 ーーー**たい奴

 犀川理津子

 おれが母親の代わりにコインランドリーへ洗濯物を乾かしに行った時、五、六年振りで

元、山中製缶時代の同僚だった、当時パート勤務の犀川理津子に出会った。

 その時、犀川はこう言った。

「アンタ、未だ、お母ちゃんと一緒に住んどっての」

 おれが、いつまで経っても経済的に自立していないとでも言いたいのだろう。又、おれが

マザコンであるとでも言いたいのだろう。

 おれは実家から離れた事は、ほんの僅かしかないが、仕事をしてる時は家に毎月四万

から六万はずっと入れてきた。そういう事も知らないで理津子は、現状だけを見て侮蔑す

る。四十も過ぎた男が結婚もしていない事を情けないとでも言いたいのだろう。

 理津子よ! 自分の娘はどうなのだ。

 仕事はつづいているが四十を過ぎて未だに独身ではないか。

 人の心に刺さる事を平気で言う小母さんだ。それも、顔も美しくもなく性格も可愛い処が

ない。自分にコンプレックスが有るから平気で他人を傷つけるのだろう。何か欠点の有る

人間を誹謗しないと、すっきりしないのだろう。憐れな奴だ。

 おれは、お前の知らない時期に一度は結婚をしているのだ。その妻は自殺してしまった

けど、お前の娘のように一度も結婚できていないよりは、おれは益しだ。

 法律がなかったら、絶対、お前を**!

 津野田義男

 こいつは、おれが小学校五年の時に、毎日毎日耳たぶを引っぱっておれを苛めてくれ

た。おれが発表すると、いちいち茶化した。あの当時のクラスの五、六人の男は、クラス

全体を陰湿な雰囲気にしやがった。

 お前に苛められてなければ、おれは四年生の時の学年トップの成績を維持して大学も

出て、今頃、博士か教授になっていただろう。

 津野田義男、法律がなかったら、おれはお前を**!

 板倉二郎

 お前は、おれが町内の草むしりに出た時、掃除が終わって歓談している時に、「寝るの

が仕事やがいの」

と言いやがった。

 おれが統合失調症だから、この三年ほど仕事に就いていない、という事情を知らない

で、まるでおれが怠けているかのような一言を言いやがった。

 考想伝播のある状態で仕事をする事が、どれだけ辛いのかお前は判っているのか!

 それに、おれは、夜中に毎日、小説を書いているんだ。仕事にする為に、賞に投稿し続

けているんだ。何もしてない訳じゃない。

 板倉二郎!

 法律がなかったら、絶対、お前を**!

 宮本秀一! 淀川絹子! 五味賢治!

 お前らも、同様に、おれが無職である事を鼻で嗤いやがった。

 法律がなかったら、絶対、お前らも**!

   *   *

 日曜日、おれは朝七時に起きた。ハツ子さんと何度か睦みあったので深い睡眠はとれ

なかった。

 肋骨が痛み、歯が疼いた。しかし、日曜では歯医者も開いていない。

   *   *

 今泉は材料の調達を山下と久米島にことづけ、久米島の車を見送った後、自らのランド

クルーザーで出掛けた。

 大きな門構えの田舎の邸宅だった。

「柴田さん、頼みたい事が有るんですが…」

 七十を超えた老紳士だった。

 彼は着物の襟合わせを帯のちかくの身頃を引き、直しながら少し身を乗りだした。

「というと何だね、今泉くん」

「中江市に大規模な都市改造、或いは、多数の事業誘致の計画はないでしょうか」

 複数の所有者が居る山林なども、いつの間にか広範囲で買いとられ、大手メーカーの

群立する工業団地や新興住宅地に変わってゆく、という事が世間ではままある。

 国家の差し金で大まかな土地の用途の変更がそれぞれの地方都市の裏のボスに打診

され、個人の思いなどを超えたところで開発は進むものらしい。

 今泉にも詳しいことは分からなかったが、中江市の場合、その中央からの打診を真っ先

に受けるのが、資産家で元不動産屋のこの柴田篤治郎らしいのだ。

 柴田は、ひとくちブランデーを飲み、葉巻に火をつけ大きく喉からの煙を吐いてから、

「有るにはあるが、まだ、どうなるかは分からない段階だ。公民党の杉崎が中江市を大改

造しようという目論みで動いている。大協製薬、佐宇田製薬、それに医学部付属病院を

持つ新設大学の誘致だ。……しかし中江市総合病院の理事長が強硬に反対している。

この話しは理事長留まりだ。中江市では推進派の現市長と総合病院の理事長、それに

私しかこの話しは知らないんで、そこは辨えてくれよ。今泉くん」

「ええ、それは勿論」

 今泉はケントの煙を吐きながらつづけた。「で、早ければいつから動きだすんです。その

計画」

「すると決まれば、年内から動く」

「大幅な立ち退き、有るんでしょう?」

「ああ、勿論。中江市の殆どの住人が一旦、現住所からは立ち退いてもらう事になる」

「(反対)運動になりませんか」

 柴田は白い口髭の終点を左手人差し指でなぞった。

「今泉くん、五年計画だよ。段階的に立ち退かせる。最初の二年、つまり、この計画の一

期二期では誰も気づかない。佐宇田製薬の第二工場が今は山林の市の東部に建ち、清

涼飲料の工場が市の中心部、スコラホテルの東に建つ。表向きは清涼飲料の工場だ

が、実は大協製薬の医療備品廃棄工場だ。大協はスポックG(清涼飲料)でも有名だ。そ

こで将来の大学病院から出る医療廃棄物を百パーセント処理することになる。……それ

から大学の寮だ。これも初めはマンションとして客も入戸させる。このマンション十棟と(医

備品)廃棄工場建設の段階でかなりの立ち退き者を出すことになる。が、しかし、マン

ションへの転居が可能でそれなりの立ち退き料も当たるということになればそんなに大き

な反対にはならないだろう。清涼飲料の工場が出来るから雇用の機会が増える、と喜ぶ

住人も居るだろう」

 柴田は新しいブランデーの封を切ってグラスに注いだ。そして続ける。

「さて、問題は(計画の)三期からだ。

 いよいよ、大学と大学病院、それに大協と佐宇田のメインの工場を持ってくることにな

る。これは中江市の殆どの住民に立ち退いてもらうことになる。勿論、新興住宅地は創る

し、その青写真を市民に提示する。そして、市長に演説をぶってもらって、市民に納得して

もらう事も必要になる。だから、計画が潜行している段階の来年の市長選には、現市長に

勝ってもらわねばならない。それと併行して、総合病院の主要メンバーのヘッドハンティン

グ。逆に大学病院の医師も何人かハイポストで総合病院へ出向かせ、中江市総合病院

を骨抜きにして完全に大学側と癒着させる」

「まったくの新設大学ですか」

「否、教授などは西都大から引っぱる。言わば西都大の内陸拠点といったものになるだろ

う」

「学生、集まりますか」

「今泉くん、そのままじゃ集まる訳がないだろう」

「えっ?」

「別の大学を一つ潰す。……岡山のY大だ。世の中、面白いもんだ。大学をつぶしたい奴

が居て、一方では或る大学を膨らますのに金を惜しまない奴が居る。地方都市に活性を

求める者が居て、地方に事業所を増やしたい会社がある。こういう事で世の中まわって

いくんだよ」

 弱い雨が降ってきた。

 中庭の池が粒模様をえがく。

 今泉はそれを見ていた眼をあげ、柴田に目を合わせる。

「実は」

 今泉は灰皿で火種をもみ消してから、

「砂を噛ましてやりたい奴が居りまして、」

「ほう、それで」

 柴田はグラスを持ったまま今泉の次の言葉を待つ。

「深い事情は訊かないで下さい。ただ、数人の困らせたい奴らの家に、立ち退きを話しに

僕に行かせて下さい。立ち退き料の設定も、其奴らのは、僕に決めさせて下さい。お願い

出来ますか」

「それは構わんが、実質動くのは丸山不動産の丸山だ。彼だけじゃないが、一番の動き

手は丸山になるだ ろう。アイツと話して上手くやればいい。……それにしても、お前が人

を困らせたいとは…」

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