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『ああ、プロレタリア』(ショート・ショート) [自作原稿抜粋]

   ああ、プロレタリア

 【注意! この作品は、18歳以上の読者を対象としています。】

「さあ、皆さん。今週も『ああ、プロレタリア』のお時間がやって来ました。……この番組は、

先進各国で評判の某クイズ番組に対抗して、我がUHFが独自に企画致しました、貧困に喘ぐ人

達に大きな賭けをしてもらって、大いに勝って人生を挽回してもらおうという趣旨の番組です。

……司会は私、納未田ブルジョワでお送り致します。……さて、この番組は民間の方々三人以上

の推薦のお葉書にて候補に挙がった人々を有識者十人で構成された出場権諮問委員会で厳正な審

査を行い、且つご本人に出場の意志を確認した上で、毎週三人の現在、人生の荒波に迷い経済的

に困窮されてらっしゃる方々に登場していただきます。……皆さん。悩んでいても解決しません

よ。貧乏は恥ずかしいことではありません。自己破産の前に、どうぞアナタも勝負してみてはい

かがでしょうか? 最高賞金一億円! ……この賞金額は、政府の超特例法案により救われる権

利を付与された方々にのみ。今回、第一回目は、実験的に生放送でお送りします。それでは、お

一人目に登場して頂きましょう。尚、このクイズは全て事前選抜方式です。予選はありません。

……では、」

 閑散とした殺風景なだだっ広いスタジオに誂えられた豪華な大理石の丸テーブルの右脇で納未

田ブルジョワが静かに画面奥の遠いミラー扉に向かって、視聴者を背中に待つ。華々しいバック

グラウンドミュージックもない。暗いその一角に、やがてミラー扉を回転させて、一人目の出場

者が現れる。薄暗かったその域に、男の登場と共に上方の俯瞰から二本の強力なライトが浴びせ

られる。同時に扉の脇にセッティングされた、これまた強力な白い放射角の狭いライトも点灯す

る。男の顔が、逆行でよく見えない。シルエットだけが、我々に想像を掻き立てさせる。男は多

分綿製だと思われる作業用のジャンパーを着ている。長身だが背中が曲がって右足を引きずるよ

うに歩いてくる。体が全体的に左に傾いでいて、猫背で、服装にも歩き方にも精彩がない。男が

納未田の向かいに座る。

 納未田ブルジョワが、突然泣き出す。

「ようこそ、『ああ、プロレタリア』へ、…苦労されましたか……、ひっく、まず、自己紹介を

どうぞ」

 納未田の目からは早くも泪が滝のように溢れている。

「大布呂最一、四十九才です。……今現在無職です」

「大布呂さん。直近のお仕事は、何を……」

「派遣社員で炊飯器を作る工場に勤めてました。」

「失礼ですが、ご結婚は……」

「一度もしてません」

「よろしかったら、ここまでの人生の経歴を、掻い摘んでお聞かせ願えますか」

 大布呂は、咳払いをする。が、続いてそれが本当の咳を誘発して、彼は苦しそうに咳き込み、

**電工のユニホームの胸ポケットからハンカチを出して体をくの字にして痰を拭う。

「私は岡山の地方都市で育ち、それなりに順調に育ちました。……自慢じゃないが、誰にもまし

て生真面目で、人に自慢できるような特技とかは何もないし、それで、私は、高校三年の時に卒

業生が半分就職、半分進学というような高校で学年で下位の成績だったんで、一年間、意地にな

って猛勉強して担任も無理と言っていた国立の東都大学に試験を受けて現役で合格しました」

「凄いですね。天下の東都大に現役合格ですか……」

「はあ、それで、親戚の叔父が、大層褒めてくれて、その叔父の援助で四年間修学させてもらい

ました。……それで、就職も財閥の四井物産に決まりまして、私の人生は順調でした。……とこ

ろが私、就職して二年目に、三品相場に手を染めまして、学生時代経済学部だったもんですから、

小豆や玉蜀黍の値の動きも、その自然な上下するサイクルや、ニュースによって資産家がどう多

量の買いや売りに転ずるかは、見抜けるものと自負してました。……それが、学生頭では現実に

は勝利できないんだ、ということが、後になって分かりました。初めは、小さな売り買いで着実

に利益を上げていたんですが、段々、自分の貯金も増えてきたし、……そうなると、男というも

の勝負がしてみたくなります。……株をやりました。一本口で大暴落して、それでも底が見抜け

ず補償金をサラリーマン金融からでも借りてきて補填し続けました。……いずれ持ち直してくれ

るだろうと、……ところが、その会社は遂に倒産し、株は紙切れになりました。……それも、も

う、それだけでは済まないことを、私は、既にしでかしてました。会社の経理部に夜中に侵入し

てコンピューター端末を操作して、複数の項目から会社のお金を自分で作った架空の会社名義の

口座に移しました。これは、納未田さん。アナタに説明しても分からない実に巧妙な悪事なんで

す。その金も株につぎ込んでました。……サラ金の借金も膨らんでましたんで警察にも発覚する

前に九州へ逃げました。……でも、犯罪は犯罪です。住み込みのパチンコ屋の仕事が終わって、

夜泣きラーメンを食べてる時に、警視庁から来た刑事さんに職務質問されて、追求されて、もう

その当時手配されてた大布呂だと認めざるを得ませんでした。刑事さんの追求は、見事です。具

体的な質問を三、四種類、間を空けて繰り返すんですから。同じ答えを返せないと嘘を言ってる

のがばれてしまいます。……それに、何で、刑事さん達には、私があそこに居た事が分かったん

でしょう。……否、どんな仕事でもやっぱりプロはプロです。……それで、二年の実刑を受けて、

刑務所で一年八ヶ月を過ごしました。……もう、私は、私の人生は終わった、と思いました。刑

期を終えて社会に出てきても、実家も親戚も友人も、口数少なに私とは距離を置くようになりま

した。……再就職の為に面接に行っても、何故四井物産を辞めましたか、ばかり追求されます。

横領のことを知ってなくても、東都大を出ているのに、この五年間何をされてましたか、と訊か

れれば、上手く誤魔化すことは出来ませんでした。住み込みの有る新聞配達やパチンコ屋、警備

員なんかを転々としました。タクシーの運転手がしたかったけど、刑期の間に免許が失効してし

まって、再び教習所に通うお金も手元に有った日はありませんでした。」

「苦労されましたねぇ……」

 納未田の顔は本当に同情しているように視聴者には見える。「もう、借金はありませんか?」

「はい、今は、借金は有りません。借金できない体ですから」

「今回は、ご希望金額は?」

「出来れば五千万取りたいです。……一度は女性と生活してみたかったんです。甲斐性のない私

のささやかな夢です。」

「失礼ですが、女性とのお付き合いは?」

「いえ、一度もありません。」大布呂は、自分が不甲斐ないというように納未田から視線を外し

て続ける。「私は、まだ、どうて…」

「大布呂さん、いえ、結構です。そんな事は」

 納未田がそう言ってテーブルの抽斗から封筒を取り出してカメラに目線を合わせると直後にダン!

というジングルが入る。

「さあ、それでは、大布呂さん。クイズを始めましょう。……大布呂最一さんの、

クイズ! ああ、プロレタリア!」

 

 一問目から、大布呂は、順調に正解を重ねてゆく。

 そして、十問目、百万円に挑戦。

「問題。……次の煙草の内、現在二百八十円で売られている物は、どれ? A、マイルドセブン、

B、セブンスター、C、マイルドセブンライト、D、パーラメント」

 大布呂の顔が初めて曇った。納未田が問う。

「煙草、吸われますか?」

「ええ」

「ちなみに、普段は何を?」

「ハイ・ライトです」

「ハイ・ライトは、おいくらですか」

「二百七十円です」

 納未田が慰めるような笑みを投げかける。

「ライフライン、残ってます」

 少し考えた処で、大布呂が口を開く。

「じゃあ、フィフティー・フィフティーを」

「どれとどれで迷ってますか」

「それは言いません」

「分かりました。……それでは、コンピューターが答えを二つに絞ります」

ーーーダン!

「A、マイルドセブン、B、セブンスター」

「・・・・・・・・」

「まだ、ライフラインが一つ残ってますよ……」

「否、電話の相手は、皆、煙草を吸いませんので……A、マイルドセブンでお願いします」

「A、マイルドセブン。……ファイナルアンサー?」

「ファイナルアンサー」

 ジングルが入り、続いて待ち時間のティンパニーのロールが流れる。

 納未田が、納未田溜めに入る。口角を上げて納未田が大布呂に圧迫をかける。が、意外な事に、

納未田が素の顔に戻って視聴者に向かって、「一旦、コマーシャルです」と言った。

ーーー♪見直そう、見直そう……

 画面がコマーシャルに切り替わる。自動車保険のCM。

 俺は、トイレに行き、小用を足す。

 戻ってきて、再びTV画面を見る。

 エリック・クラプトンの古い曲が流れている。

ーーーもはや、誰も傷つけない………水を補給するだけ、分解した水から水素を取り出し、エン

ジンで燃焼させる、新しい形。……ダイナモから自動的に充電されるので、バッテリー走行も可

能。……これが新世代ツーリング。……シビウス!

 そして、番組に戻った。画面は、解答を言い渡す寸前の口角の上がった納未田と、時々、ちら

ちらと彼に視線を合わせる気の弱い大布呂の対峙する横並び。

 俺は、セブンスターを吸い。ひねり揚げを囓っては、ビールを呷る。

(終わったな……)

 俺は、セブンスターの愛煙家だ。

「……残念!」

 大布呂がしょぼくれて、もう用のなくなった席を立とうとする。納未田に握手を求めようと彼

は、納未田の方へ歩みかける。

「一寸、待って下さい! 大布呂さん!」

 納未田ブルジョワは、両手の平を下へ降ろしながらそう言う。

「・・・・・・・・」

 呆然とする大布呂。

「これで、失格だったら、某局とアメリカの有名クイズ番組と同じです。……なぜ、番組タイト

ルが違うのか。……大布呂さん、この番組は、ここから敗者復活を遂げることができます。もし、

貴方に復活の意志がお有りなら、リコールします、とだけ仰有って下さい。……但し、次が、百

五十万円への挑戦だから、今、貴方は手持ち十万円ですから、手持ちが百万になるように、或る

団体からお金を借りて頂きます。……よく、考えて下さいよ。貴方がもし、次の問題も間違える

と、元本九十万円の借金だけが残ります。しかし、正解を続けて借金を差し引いても大金が掴め

るチャンスはあるのです。最終問題正解時の賞金総額は一億円です。……さあ、続けますか? 

……結婚したいですね。夢が叶うかも知れません。……十万円を持って帰るか、失敗して借金を

抱えるか。……はたまた続きの何問かを正解して大金を掴むか……」

 大布呂は、五秒ほど黙考したが、すぐに心を決めた。

「続けます」

「リコールします、と仰有って下さい」

「リコールします」

 ギャラリーから歓声と拍手が起こる。

「分かりました。……それでは大布呂さん、ここに電話が有ります」そう言って、納未田はテー

ブルの下の棚から、その存在さえ今まで誰も気づかなかった電話機を出し、彼の前に置いた。納

未田は続ける。「今から、このメモに書かれた電話番号に電話して、現金九十万円を借り入れた

いのですが、と仰有って下さい。利息は、法定内の年利十八%です。……一応、審査が有ります」

 大布呂は、落ち着きをなくし、額の汗をハンカチで拭きながら、「あの、私、無職なんですが

……」と言った。

「大丈夫です。この機関は、無職でも貸してくれます」

 

 大布呂は、震える手で、コードレスホンのボタンを押す。ボタン音は、全て一定の高さだ。

「はい、サイトウです」

 マイクの繋がった受話器から、野太い男の声がスタジオに木霊する。

 ギャラリーが、一瞬どよめく。

 納未田が流し目と共に左手を手の平を上にして盆を持つように水平に動かし大布呂に科白を促

す。

「あ、あの……ゲ、現金九十万円を借り入れたいのですが……」

「はい、それでは、貴方の本名と年齢、現住所を言って下さい」

「大布呂最一。四十九才。福岡県北九州市**一〇一の六、寿莊206です……」

 しばらく間が有った。

 ギャラリーの固唾を呑む音が聞こえてきそうだった。

「はい。……じゃあ、大布呂さん。貴方の丸菱銀行**支店の普通口座に、明日の朝一に振り込

みます。契約書は、今日中に取り交わしたいのですが……貴方、今、何処に…」

「納未田でございます」

 急に納未田が会話に割って入った。

「納未田さん?」

「斎藤さん、いつもお世話になっております」

「あー、UHFの、……それじゃあ、よろしく納未田さん。……大布呂さん。どうもありがとう

ございます。以後よろしくお願い致します」

ーーーガチャ!

 慇懃だが、一方的に電話は切れた。

 BGMがテクノ調のゆっくりした琴のアルペジオで始まった。長調だが心にしっくりこない音

の動きだった。旋律的に次に行きたがる音を敢えて外したアルペジオなのだ。その精神を苛まれ

るBGMの中で大布呂は、納未田の用意した書類にサインし、左手人差し指で拇印を捺した。

「ここで、大布呂さんに諒解しておいてもらいたい事実があります。……この今回の借金は、ど

の段階ででもクイズに失敗なさると、全額我が番組が、貴方の口座からスライドして貰い受けま

す。……現金をです。……つまり、貴方は、クイズに失敗すると、借りてきたお金を、全額失っ

て、全く消費対価のない借金を、先ほどの斎藤さんに返さなくてはならなくなります。……しか

し、クイズに正解して、そのまま途中でドロップアウトすれば、もしくは、最後のクイズに正解

すれば、そのクイズの賞金が、先ほどの借金分を差し引いて、貰えます。それで、その場合は、

貴方の口座に入った借り入れた元本のお金を明日にでも一日分の利子をつけて、斎藤さんに返し

てしまえばいいわけです。……お分かりですか? 大布呂さん」

 大布呂は、納未田の話の途中からその表情を曇らせた。

(そういう契約の細部は、先に言ってくれよな……)大布呂は、そう心中で独り言ちた。しかし、

司会者に前段の説明で既に同じ事が言われているとも言える。

 勝つしかない。大布呂は、そう仕切り直した。

「百五十万円」

 そう言って、納未田が小切手を斜に構えて大布呂の双眼を睨んだ。

ーーー次の四つの内、エンターテイメントの意味は、どれ? A、旅行。B、休暇。C、娯楽。

D、サービス。

 大布呂は、左の額に手の平を当てて眉間に皺を寄せ堅く目を瞑った。頭に重りが入ったように、

首を傾げ、左前方に下がろうとする頭部を左手を押しつけてかろうじて制御しているような姿勢

をとった。

「ゆっくり考えて下さい」

 納未田は、他人事のように涼しい顔で言う。「頭が痛いですか?」と、労る言葉を出す。

「……ええ、……元来、頭痛持ちなもんで……」

 目を開けた大布呂の額には皺が刻まれ般若そのものだ。とてもTVの画面から全国に報じてい

い表情ではない。

「肝臓は強いですか?」

「ええ、人よりは強いです。大酒飲みですし……、それが何ですか?」

「じゃあ、水も有りますから、私が特別によく効く薬を出しましょう」そう言って納未田は、背

広の右内ポケットから、セロハンをパリパリといわせて顆粒の入った透明の袋を出した。「これ

を飲むと収まります。医者に処方して貰うセデスです。……もっとも、今では副作用の問題が有

って、廃盤になってる物ですが、肝臓が強いのなら大丈夫です」

 大布呂は、それを受け取って自らの口に含み、コップの水で流し込んだ。全国放送の中での、

この頭痛は、何をおいても早く消すべきと判断したのだ。

 偏頭痛が嘘のように退いた。

 と、同時に、納未田の風貌がよく判った。脂ぎった黒い肌、充分な贅沢食がもたらすふっくら

とした頬。

「電話させて下さい」

「テレフォン?」

「テレフォン」

「電話の向こうにはどなたが…」

「パチンコ屋時代の友人が」

 三十秒の回答時間は、あっという間だった。

ーーーサービスだよ、サービス、間違いないーーー

 大布呂より十年若い万年独身だが、気楽に生きているパチンコ店の店員の結城は、迷わずにそ

う答えた。

 大布呂も、それに納得し、初めの自分の勘とも一致していたので、

「D、サービスでお願いします」

 と、言った。

「D、サービス、……ファイナル・アンサー?」

「ファイナル・アンサー」

 ベットしたポーカーのカードを表へ返す時の期待と恐怖を表現するジングルが響く。

 納未田の口角が上がる。

 笑っているのか、心をなくして停止しているのか、表情のない能面が俯き加減に下から大布呂

を掬い上げる。

「残念。……」

 納未田の声と同時に、画面手前の解答テロップのCの欄が黄色に点灯する。

 がくんと、肩を落とす大布呂。

「いやー、残念でした。大布呂さん。……サイトウさんは、どこへ行っても必ず貴方に催促して

来ますから、まず、借金を返して下さい。……何年割賦にでも変更はききますから、そんなに深

刻にならないで下さい。……今日は、本当に有り難うございました」

 大布呂は、よれよれの作業着のまま席を立って一度だけ納未田に黙礼して、元きたミラー扉へ

と歩み始めた。

 納未田に、スポットライトが当たり、彼は語り始める。

「いやー、人生、そんなに甘くないんです。貧しくとも富んでいても働く事を忘れてはだ…」

 納未田の言葉が急に途絶えた。

 外周の観客席からガスライターが投げられたのだ。ライターは、まともに納未田の眼鏡に当た

った。

「おい! インチキだ! Dも正解だろう!」

「そうだよな、英検三級の俺でも分かる問題だ。エンターテイメントの意味は複数あるだろう。

勿論、サービスの意味もある!」

 客席がにわかにざわめき立ち、始めの客に賛同する者がひな壇に立ち始める。

「クイズ番組は、番組側が決めた解答が唯一の正解な…」

 その科白を納未田は言い終えられない。

 車の鍵が、腕時計が、文庫本が、携帯ストラップが、次々と納未田に命中する。

 眼鏡だけは、拾おうと屈んだ納未田の頬にみかんがヒットした。ついに、納未田も職業的笑み

を保てなくなった。

「おい! 何だ何だ! 今のは! 誰だ!」

 激昂する納未田に、様々な野次と物が尚も飛ぶ。

「おい! この番組は、人を不幸にするのか!?」

「高利の借金背負わして、一体、何の権限が有るんだ!」

「大布呂さんの借金、取り消せよ!」

「取り消せ! 取り消せ! 取り消せ! ………」

 ギャラリーが大声で唱和し始めた。

「底辺の労働者が居るから社会が成り立ってんだろうが!」

 三十代の華奢な男がそう大声で叫んだ時、画面は富士山の麓で枯れた木に花を咲かせる爺さ

んのアニメーションに切り替わって、しばらくおまちください、という平仮名のロールスーパー

が流れた。

 俺は、二缶目のアサヒスーパードライをぐいと呷って、

「こんなんアリ?」

 と、独り言ちた。

 隣で妻が、背中をぼりぼりと掻きながら微笑んで、

「アリかもよ……」

 と、言った。

 


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