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妄想(ショート・ショート) [自作原稿抜粋]

   妄想

 

 或る日、いつものように十一時に目覚め、ブランチを食べたあと、郵便物が来てい

ないか玄関を見にいったら、見知らぬ女が立っていた。

「山雨先生。私、貴方のファンなんです。本を持ってきましたのでサインして下さい」

「そうか、それは、わざわざ有り難う」

 そう言って僕は奥付きの一つ前にサインする。僕の本は表紙裏が黒なので、そこに

しかペンでは書けない。

「先生、私、お弁当つくってきました。一緒に食べませんか」

「まあ、そういう事なら」

 と、室に上げた。

 ストレートの髪の女だった。

 なかなかに手の込んだ料理だった。ゴボウやレンコンの煮付けまであった。

 食べ終わると女は抱きついてきた。

「先生、ご不自由でしょ。私でよかったら」

 僕は押し返した。

「私は、イスラエルの家の失われた羊以外には遣わされていない」

「そんな事言っても、膨らんでるじゃないですか」

「理性と情動は矛盾する」

「抱いてください」

「僕は、君の事を基本的に何も知らない。後で『山雨さんに、無理矢理やられました』

と騒がれると、僕の立場が危うい」

「女に恥をかかせるんですか」

「無理を言ってるのは、そっちだ」

 ひとまず、引きとってもらった。

 次の日、別の女が立っていた。

 サインをして、やっぱりこの女性も弁当をつくってきたというので室に上げた。

 食べ終わると、

「抱いて下さい」

 またか。

「私は、イスラエルの家の失われた羊以外には遣わされていない」

「そんな事いっても、膨らんでるじゃないですか」

「理性と情動は矛盾する」

「女に恥をかかせるんですか」

「そこまで言うなら、履歴書を書いて持ってきなさい」

 次の日、女が履歴書を持って現れた。

「君は短大卒か。なるほど。簿記四級とか英検三級は履歴書に書けるレベルではない

よ」

 よし、と言って返し、

「今度は、プロフィール表と三方向から撮った写真を持ってきなさい」

 と言って帰した。

 次の日、女がその通りにしたので、思いっきり性交をやった。

 満足して帰っていった。

 次の日、見知らぬ男が立っていた。

 サインをし終わると、「弁当をつくってきた」と言う。何じゃ此奴は。

 とりあえず、室で弁当を食った。

 食べ終わると、抱きついてきた。

「先生! 先生!」

「おい! 俺は、そのケはない」

 この男、相当力がつよい。

 陵辱されてしまった。

 次の日から玄関を確認しない生活になった。



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