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『アンダーグラウンド』読了(追記あり) [最近、読んだ本]

 村上春樹さんの、『アンダーグラウンド』を読みました。

アンダーグラウンド (講談社文庫)

アンダーグラウンド (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/02
  • メディア: 文庫

 例によって、感想は追記で挙げますので、しばらくお待ちください。
 追記:感想
 村上春樹さんが、地下鉄サリン事件の被害者に、事件の九ヶ月後から約一年に亘ってインタビューされた
記録である。
 TV報道では明かされなかった被害者の声が出てくる。
 それぞれの人には、それぞれの人生がある。平凡に見える人でも、インタビューを拝読すると様々な紆余
曲折がある人生であると窺い知れる。つまりは、どんな人も、苦労し努力しつづける日々のなかに居るの
だ、ということを改めて思い知らされるインタビュー内容だった。
 その人達(被害者の方々)の人生が、1995年、三月二十日に大きく捩じ曲げられる。
 サリンガス吸引後の症状は、意識ダウンや頭痛や縮瞳。嘔吐などである。
 地下鉄に乗り合わせた人々は、サリンガスが充満しはじめた段階では、何が起こっているのかさえ判らな
かった。
 なくなられた方の遺族のインタビューや重い後遺症の方のインタビューを読んでいると胸が詰まる。
 1995年というのは、めまぐるしい年だった。
 一月に阪神淡路大震災が起こり、三月に地下鉄サリン事件が起きた。
 私(山雨)は、当時、一旦転職し、すぐに或る事情で解雇され、就職活動などをやっている時期だった。
地下鉄サリン事件は、その一旦就職していた職場で耳にし、その後、実行犯の井上嘉浩ではないかと嫌疑
をかけられ、随分と苦い思いをしたことを思いだす。
 地下鉄サリン事件にしても、阪神淡路大震災にしても、現場に居た他人同士は助け合っている。緊急事
態になれば、困っている人を放っておけないという扶助本能とも言うべきものが、この殺伐とした現代にも残
っているのだな、と感じた。
 村上春樹氏は、あとがきに相当するページで、ご自身の作品『世界の終わりとハードボイルド・ワンダー
ランド』のなかの作中動物「やみくろ」のことを紹介され、地下鉄サリン事件に関してオウム真理教がやっ
たことは、「やみくろ」を地上に解き放ったような事とされる。少なくとも、誰の心にも深層意識の奥の奥
にはおぞましい世界が封印されていて、そこには鍵がかかっていて、それを開けた、に匹敵する行為と仰有
る。
 私は、こういう考え方に対して、最近は首肯しなくなった。以前は同様のことも考えていた。
 フロイトも、深層意識にリビドーがあると定義したが、最近の私の考え方としては、深層意識の一番深い
ところには何もないのではないか、と思っている。有るとしても平安な心なのではないか。それは、まるで、
海がどんなに荒れても深海は全くその影響を受けないように。
 後遺症に悩む方々の訴えは、事件を直接体験していない人には理解してもらえないことが多いらしい。
「歳のせいではないですか」などと言われることが多いそうだ。実際、被害者の方々も誰でも否応なく歳をと
っていく。ご自分でも、加齢のせいで物忘れが酷くなったのか、サリンガスを吸った影響なのか判然としない
と語る方も居られる。
 今、別の本を読んでいて、その本には、「一旦壊れた身体は、なかなか元に戻らない」ということが随所
に書かれている。
 人間の根本的財産である健康を奪った犯行は許されるものではない。
 宗教は、信者が自分の我を信仰対象に全て預けてしまう。それだから、一人で世間に対抗するしかない
場面でも拠り所に預けて楽である。このこと自体を悪く言う論評が多くなっている。この『アンダーグラウン
ド』のなかで村上氏が語る内容も同じことを指摘している。自発的世界を受け入れられないのを大きな社会
に抑圧されながら我慢して人間は生きている。ところが、麻原は、ジャンクなものを塗り固めて一つの自発
的世界(物語世界)を創って、社会に決して抑えられることのない世界をつくった。そこが問題だと仰有る。
 しかし、宗教とは、そういう部分がある。(自我を信仰対象に預けてしまうという生き方になるというこ
と)
 だから、信仰対象である神、或いは教祖が、本当の善を持っていなければこういう事件は起こるのだと言
える。
 この宗教は間違っているかいないかを吟味してから加入するという事も大事だ。しかし、そういう吟味を
するのは、実は、個人が神を査定しているのであって、自分の納得のいく対象だけを選ぶのは、実は自分
の脳のなかの知識と知恵の範疇を超えている行為ではなく、ただのホビーとしての名ばかりの信仰スタイル
であるとも言える。
 この問題は考え出すときりがない。
 神、少なくとも信仰対象になろうとする人も含めて、性格が完全でなければ世間が困るという事なのだ。
 本の感想から少し逸脱したが、これで書評としたい。
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