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『殺人犯を裁けますか?ーー裁判員制度の問題点ーー』読了(追記あり) [最近、読んだ本]

 田中克人さんの、『殺人犯を裁けますか?ーー裁判員制度の問題点ーー』を、やっと読了しました。

殺人犯を裁けますか?―裁判員制度の問題点

殺人犯を裁けますか?―裁判員制度の問題点

  • 作者: 田中 克人
  • 出版社/メーカー: 駒草出版
  • 発売日: 2007/04/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 国民は、何も知らされていない処で、法律(裁判員法)が創られ、近々、平成21年(2009年)4月から施行されようとしている。と、著者は、皆さんに警鐘を鳴らしています。

 一度、この法律(裁判員法(裁判員制度))の施行を国民の世論で食い止め、司法に国民が参加する場合でも、もっとよい方法はないだろうか、という議論が必要だと仰有っています。よしんば、裁判員制度を施行するにしても、今回創られた裁判員法のままではよくない、と仰有っています。

 今、読み終わったところで夜中ですので、レビューは今日の午後、追記であらためて書くこととします。

 纏めきれるか(僕の頭脳では)自信が有りませんが、追記をご期待ください。

 追記

 初めに言い訳めいたエックスキューズを入れます。

 これから載せる書評に関しては、事実や現状認識に誤りがあるかも知れません。この本が、あまりにも広範囲のことを説かれているので、僕の吸収力が追いついていないと思われるからです。
 正確な知識は、この本を直接お読みください。

 レビュー

 裁判員制度というのは、どうやらアメリカのグローバル化で、アメリカが日本に市場参入したがっていて、その圧力が元で、日本の弁護士を増やして欲しいというアメリカの要望に基づいて創られた、というのが裁判員法制定の一番の原動力のようです。

 アメリカとしては、日本に自国の企業を送り込みたいのです。しかし、送り込んだ後、企業裁判になる例が出ないとも限らない訳です。クレームの問題や買収の問題などでの争いが起こることは充分に予見できる訳です。

 それで、アメリカの企業側に立って弁護してくれる弁護士を予め確保したいという思惑が有るようです。

 司法制度改革という大きな流れが、1990年頃からあって、日本弁護士連合会は、法曹の一元化と陪審制の導入を掲げました。法曹の一元化というのは、裁判官には裁判官を目指す人だけが、実際の法廷裁判に何度も出て、勉強して、その期間も約十年(間違ってたらごめんなさい)という下積みを経て裁判官になるという現状を、弁護士の中から、経験を積んだ人は裁判官に成れる、という制度にしようというものです。

 裁判員法は、司法に関する法律は、国会だけで単独に作ることができないという先例的国会決議「司法制度に関する法律案を出すときには、法曹三者の意見の一致を前提とする」というルールが出来ていたので、アメリカの要請に基づいて司法制度改革を行おうとする政府・自民党には、法曹三者の協力が必要でした。(法曹三者というのは、最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会)

 それから、まず、政府を含む四者の会議が持たれて、何度も審議が持たれます。実際の審議をする集まりと、審議全体を統括する顧問の集まり、そして、審議自体を監視する為の集まりもできます。
 ところが、これらの委員に、何故この人がなったのかは分からないし、集まりは、急に出来たらしいのです。

 この辺りの事情に関しては、僕では説明しきれません。本文が難しいので理解しきれていません。

 そして、法曹三者の司法改革に対する思惑はそれぞれ違っていたとのこと。
 最高裁判所は、陪審員制度導入には反対だったそうです。
 この辺りの例も、本に線を引くなどして記憶していかないと説明はできません。

 司法制度改革で、よい成果も有ったそうです。例えば、離婚のような家庭事件は、地方裁判所の管轄から家庭裁判所の管轄になったことなどです。

 司法制度改革の中の一つの項目として、国民が裁判に参加する制度というのが議題にあったということなのです。

 陪審員制度を導入しようとする日弁連と陪審員制度には反対の最高裁とが対峙し、なかなか国民参加の裁判制度の議論は進まなくなり、会議の後半には、「とりあえず、陪審制以外の国民参加制度を作る線で議論しよう」ということになりました。
 それで、どこの(世界の他の)国の制度も真似ることなく独自の制度(法)として出てきたのが、「裁判員制度」なのだそうです。

 しかし、この「裁判員制度」というのは、フランスやイタリアやドイツなどで行われている参審制と内容は殆ど同じなのだそうです。

 大まかに言うと、陪審制は、被告が有罪か無罪かだけを決める。

 参審制は、有罪か無罪か、そして、量刑まで決める。(共に、一般人が)

 そして、裁判員制度の肯定的な宣伝は、タウンミーティングでも議題に出され、やらせ発言なども、実は議題は裁判員制度導入推進の為のものだったそうです。
 マスコミも、肯定的な制度施行しますので、国民に協力を呼びかける内容しか発信しない。こういう処に著者は怒っておられます。

 著者の制度施行への疑問点は、

 ・第一に、どうしてこのように大切な法律をつくる前に国民の意見を聞かないのか。

 ・第二に、憲法違反の恐れがあると、法曹関係者からも指摘されている法律(国民が公正な裁判を受ける権利の侵害、司法の独立の侵害)をなぜ強引に国民に押しつけるのか。

 ・第三に、どうして刑事事件、それも殺人事件を含む死刑や無期懲役などの重罪に該当する事件に限って国民を参加させるのか。

 という点です。【『殺人犯を裁けますか?』本文引用】

 全国民の200何人(正確な数字は忘れました)に一人は、一定の期間裁判員にならなければならないのです。

 そして、裁判の内容を誰にも口外してはならない、という守秘義務も負わされることになります。破ると刑罰があります。

 一日の拘束に対する日当は出ますが、職種によっては不十分な場合もあるし、折角景気が上向いてきているのに、企業の運営にブレーキをかけることにもなる。零細企業などにはたまったものではない。

 日本の現状では、検察審査会(刑事事件で不起訴処分の場合、不起訴が妥当でないか妥当かを審議し、検察に通知できる機関(一般人で構成されている))や、参与員(離婚裁判などのときに、詳しく被告人とその罪を調べ、さらに、近年では裁判官と共に公開の法廷で審理に参加できる一般人(この場合は任意で自らが希望していて、ふさわしいかどうかの審査を通った人)や調停委員などの、積極的に裁判に参加したい人の為の制度が有りますし、保護司などを経験した人が段階的に裁判員になる方が望ましいのではないか、と。

 最後に、この「裁判員制度」は、刑事事件で裁判員が罪の有る無しの評議・評決に参加し、さらに、被告人の量刑まで、評議・評決で参加できるものでありながら、地方裁判所で行われる一審にしか参加できないことが、矛盾点です。

 重罪の裁判なので、刑がどう決まろうと、被告側か検察側が控訴することは明かです。

 僕の意見としても、一度、施行を止めて、議論を深めるべきだという結論になりました。

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コメント 3

おみ

裁判員制度は、どう考えても恐らく
今よりも被害者に同情的な判決が多く出そうな気がします。
当事者でなく、部外者として見ているだけで、
『それは被害者が浮かばれない。』と思わない人の方が少ないんではないか?
と感じているのですけど。
それが良いか悪いか、は分かりませんが。

プロの方々は、客観的な見方をし、
素人の裁判員の方々は、主観的な見方をするんだろうな。
それは、温度差を感じていた司法の
一歩前進となるのか、後退となるのか・・・。

国民側に充分な受け入れ態勢が出来ているとも、思えないです。
この制度は、公務員の方には良いかもしれませんが、
民間、自営業、自宅で介護をしている人、子供が小さくて手が離せない人、
そういう人が有無を言わせずかりだされて、どうしていいのか、
考える余地とか制度の柔軟性とか、議論されているとも
どうしても思えないんですよね。
by おみ (2007-07-15 13:53) 

山雨 乃兎

>おみさん
確かに、充分な議論がなされないままに施行されようとしていますね。
裁判員としてかり出されて、日当は当たるけれども、事業としてのマイナスがかなり大きいだろうと思われます。
裁判官は、或る意味、人情をころして判決を下すことができるのですが、長年に亘って実際の裁判で鍛えられるということも有りますから。
一般の感覚を裁きに反映させるという意味は一理あるかも知れませんが、守秘義務などの心の負担が、一般人には重すぎるように思います。
もう、すぐ近々施行ですね。
ホントは、国民からストップの声が挙がるべきだと、田中さんも仰有っているのですが……。
by 山雨 乃兎 (2007-07-16 00:45) 

山雨 乃兎

>夕月琥珀さん
ナイスをありがとうございます。
by 山雨 乃兎 (2007-07-19 12:53) 

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